児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

公然わいせつ罪につき「会員制だから公然ではない」として否認している事案

   公然=不特定又は多数
ですから、対立概念は
   非公然=特定かつ少数
になります。
 特定の1人だけなら「特定かつ少数」なんでしょうが、店内の座席数などからみて、営業的にやっていると、特定少数だと言い切るのは難しいような気がします。実際、摘発事例は多くて、そんな弁解通ってないし。

http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/article.aspx?id=20080121000110
ハプニングバー四国初摘発−経営者ら5人逮捕
2008/01/21 10:37
 調べでは、両容疑者は、20日午前2時35分から同50分にかけ、雑居ビル地下1階の同店で、客の男(41)と女(35)が別の女(32)を全裸にしてカメラ撮影していたのを、ほかの客に見せた疑い。
 昨年6月に情報提供を受けた同署などが内偵捜査を進めていた。当時、店内には13人の客がいたらしい。
 同店は会員制で、約3年半前にビルやデパートが並ぶ繁華街の雑居ビルにオープン。ホームページや口コミでうわさが広まり、会員は県外客も含めて数百人に上るという。
 調べに対し、容疑者は「趣味でやっていた」と容疑を認め、容疑者は「会員制だから公然ではない」と否認。同署などは会員名簿など段ボール箱9箱分を押収し、実態解明を急いでいる。

東京高等裁判所判決昭和33年7月23日
高等裁判所刑事裁判特報5巻8号345頁
東京高等裁判所判決時報刑事9巻7号220頁
判例タイムズ83号53頁
所論にかんがみ記録を調査するに、被告人に対する直判示公然猥褻及び猥褻図画陳列の事実は原判決挙示の証拠により明らかなように、不特定多数の客を勧誘しこれに観覧の機会を提供しているのであるから、たとえ会員組織の如く半ば秘密に会員券を売り会場は外部の人の出入を許さず、客同志も殆んどお互に判らず未成年者は入場しなかつたとしても、それが刑法上所謂公然となされたものに該当すること論をまたない。

大阪高等裁判所判決昭和30年6月10日
高等裁判所刑事判例集8巻5号649頁
高等裁判所刑事裁判特報2巻12号591頁
 按ずるに、生物は生殖の本能と種族保存の本能を有するのであつて、人類もまた生物の一種としてこの本能に支配せられ、性交によつて永遠の生命を保持するのである。従つて性的行為は社会の存在する根本条件であるから、性的適徳は古来から保護せられて来たのであるが、他面性欲を刺げきし満足せしめる行為が社会の健全な性感情、善良な風俗を害し、社会の秩序を破壊する場合には刑法の干渉を受けることとなるのであつて、刑法第百七十四条もまたこの意味から設けられている規定である。従つて、同条にいわゆる公然の意味も右の趣意に則り解釈せられなければならないのであつて、この趣意を離れ単に文字の末節のみにとらわれた解釈態度は同条本来の使命と目的とを忘却するものといわなければならない。従つてこの見地に立つて同条を解釈すると、同条にいわゆるわいせつの行為とは性欲の刺げき満足を目的とする行為であつて、他人に羞恥の情を懐かしめる行為を云うのであり、叉公然とは不特定叉は多数人の認識し得べき状態を云うのであつて、必ずしも現に不特定又は多数人に認識せられることを要しないのである。従つて、特定の少数人のみの認識し得る状態においては原則として公然とは云い得ないのであるが、もしそれが現に特定の少数人が認識し得るにすぎない状態にあるにせよ、偶発的に行われたものではなく一定の計画の下に反覆する意図をもつて不特定人を引入れこれを観客として反覆せられる可能性のあるときは上記の趣意から見て、不特定叉は多数人の認識し得べき状態であると解すべきであり、従つてこの場合には公然性を具有するに至るものとしなければならないのである

 なお、録画して再生していると、わいせつ物公然陳列罪になって、法定刑が4倍になります。

第174条(公然わいせつ) 
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
第175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

 わいせつをその場限りで見せる(脳裏に焼き付ける)というのと、物に固定して反復して見せるというのとでは、これだけ評価が違います。