児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ公然陳列の共同正犯としての訴因に対し,不作為による従犯の事実を認定する場合に,訴因変更の手続を必要とするとされた事例(名古屋高裁平18.6.26判決)判例タイムズ1235号 [2007年5月15日号]

http://www.hanta.co.jp/hanta-new.htm
 雑誌に出ましたね。
 管理者と通りすがりの投稿者を共同正犯とする裁判例もあるようです。

追記
刑訴法の論点として解説されています。

判例タイムズ1235 解説
本判決は,手続違背のみに限定して判示したものであり、そこでは触れるところがないが,本件のような事案、すなわち自らが開設した電子掲示板に児童ポルノ画像を送信してきた者がある場合に、それをあえて放置し不特定多数の者がこれを見ることができる状態にする行為についてどのような犯罪を構成するのかいう点も実務上大きな問題であると思われる。具体的な犯行態様によっても異なるであろうが共同正犯の成否, 作為による幇助、等々を含めてなお検討の余地がある。

 差し戻し後の一審では、作為義務の議論は避けて、「掲示板設置行為のみ」を作為による幇助とするという訴因変更があってそれで有罪になっています。
 共同正犯の訴因は、成り行き上、審判対象から外れてしましました。
 「掲示板設置行為のみ」だと作為の正犯の未遂(不処罰)だというのが、東京高裁判決(上告棄却)の評価ですけど。