児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

画像チャンネル事件が結審/社長の被告に懲役2年求刑(横浜地裁H20.1.17)

 作為義務の議論があったのかについては伝わってきませんでした。

http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiidec0712106/
検察側は懲役二年を求刑した。弁護側は「ほう助にすぎない」と主張し結審した。判決は一月十七日。

 だいたい、不真正不作為犯を作為犯の訴因で起訴しているのがおかしいですね。
 検事さんのいう「わいせつ画像を投稿できないようシステム変更したり、削除したり」する義務がどこから出てくるのかをうかがいたいですね。わかってるんだったら、訴因に書いて欲しいものです。

わいせつ画像掲載 「画像ちゃんねる」元社長に2年求刑 横浜地裁公判=神奈川
2007.12.12 読売新聞社
 インターネット掲示板画像ちゃんねる」のわいせつ画像掲載事件で、わいせつ図画公然陳列などの罪に問われた、掲示板管理人被告(35)の論告求刑が11日、横浜地裁(栗田健一裁判長)であった。検察側は「掲示板の広告収入を維持するため、わいせつ画像を不特定多数のネット利用者に閲覧させた」と指摘し、懲役2年を求刑した。
 弁護側は「投稿者が犯罪の実行行為者。掲示板開設者は、ほう助犯にとどまる」と主張しており、被告に同罪が適用できるかが争点になっている。
 検察側は論告で「わいせつ画像を投稿できないようシステム変更したり、削除したりできたのに、長期間根本的な対策を取っていなかった」と指摘した。
 弁護側は、違法な画像の投稿を制限する「削除ガイドライン」を設けて掲示板を監視したり、過去に違法な画像を投稿していた者の投稿を禁止したりしていたと反論。「積極的に法を犯そうとしたわけではない」として、執行猶予付きの判決を求めた。

 名古屋高裁H19は、違法画像が投稿されるまでの設置管理行為は幇助であって正犯ではないと言い切ってますから、横浜地裁がその部分まで含めて正犯だとすると、判例違反です。
 やはり、幇助と正犯の一線を画するのは、違法画像を認識しつつ削除しなかったという不作為に求めざるを得ないので、作為義務の根拠と内容の議論が避けられないですね。