児童に対する性犯罪が、地裁と家裁に分けて起訴された場合に、いわゆる「ロリコン加重」が二重に評価され、合算すると重くなる傾向があります。
控訴審で根気強く説明すると、調整されて軽くなるんです。こういう事例を経験しました。
事例1
地裁事件
一審1年4月→1年
家裁
一審4年6月→3年6月
合計
一審5年10月→4年6月−法定通算(実質刑期約3年8月)
事例2
家裁事件
一審2年→1年6月
地裁事件
一審1年6月→8月
合計
一審3年6月→2年2月−法定通算(実質刑期約1年6月)
両方、一審の地裁事件も家裁事件も弁護人は同じ国選弁護人ですが、二重評価の危険に気づいていませんでした。進行をずらして、遅い方に早い方の状況を報告するなど、特別な工夫が必要です。
また、分かれている場合でも、一罪にできないかをよく考えてください。
支部の裁判例を見ていると、同様のケースが地裁家裁とも一審実刑のまま確定していることが見受けられますが、この場合の控訴は遠慮しないでください。
控訴理由としては、二重評価されている点を徹底的に洗い出すことです。
2 量刑理由の二重評価(併合の利益)
(1)量刑理由の共通性
(2) 論告の重複
①一般情状
②性的傾向
③動機・もくろみの共通性
④
⑤撮影が強調されていること
⑥ 事件の総括部分
⑦ その他の要素
⑧ 児童ポルノの流通による被害
⑨被害弁償について
⑩被害者の落ち度がないことについて
⑪余罪について
⑫特別予防について
⑬一般予防について
4 地裁事件と家裁事件が併合されずに審理された場合の併合利益の調整の例
①(浜松支部)の場合
②(東京)の場合
③ 集計
④ 家裁の判決に配慮した事例(仙台地裁)
4 被害者への謝罪・被害弁償
5 被告人の反省