児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春の機会に撮影行為が行われた場合、児童買春罪と3項製造罪とは観念的競合である

 裁判官から「ブログ拝見すると奥村先生は併合罪説ですよね?」と言われました。
 裁判例を並べると、観念的競合ですよね。
 判例が児童淫行罪の関係では撮影=性行為としている以上、他の罪でもそう解釈するしかありませんよね。

弁護人 弁護士 奥 村   徹  

 児童買春の機会に撮影行為が行われた場合、児童買春罪と3項製造罪とは観念的競合である

第1部 児童買春罪と3項製造罪は観念的競合である。 6
1 刑法54条1項の「一個の行為」の意味(林正彦判事の分析) 6
2 性犯罪・福祉犯と実行行為が重なるので観念的競合となる場合 14
(1)児童ポルノ製造罪を立件しない場合(製造罪施行前又は施行後であっても製造罪が立件されていない場合)の撮影行為の刑法的評価 14
?撮影を児童淫行罪の実行行為とするもの 14
大津家裁H19.6.1*1 14
イ高松家裁H16.3.17*2 14
?撮影を強制わいせつ罪の実行行為とするもの(児童には限らない) 14
最高裁s45.1.29*3(但し、性的傾向を欠くので強要罪。) 14
静岡地裁浜松支部H11.12.1*4 14
奈良地裁H18.9.26*5 14
佐賀地裁H18.3.14*6 14
神戸地裁H17.11.25*7 14
横浜地裁H16.9.14*8 14
神戸地裁尼崎H17.10.28 14
山形地裁H16.10.18 14
ケ秋田地裁横手H15.9.5 14
那覇地裁H17.11.17 14
サ大津地裁H16.2.10 14
シ大津地裁H18.12.13 14
奈良地裁H13.9.12 14
広島地裁H18.2.17 14
さいたま地裁H19.1.19 14
金沢地裁H12.2.23 14
松山地裁西条H18.5.11 14
ツ札幌地裁H16.10.13 14
福岡地裁H13.10.17 14
仙台地裁H18.7.7 15
仙台地裁H18.9.28 15
仙台地裁H13.8.3 15
長崎地裁佐世保H14.1.23 15
横浜地裁H13.5.21 15
さいたま地裁H19.2.5 15
名古屋地裁半田H17.3.28 15
松山地裁H13.3.13 15
神戸地裁H18.9.22 15
福岡地裁H17.3.4 15
ホ函館地裁H14.9.10 15
名古屋地裁H19.7.20 15
ミ東京高裁H18.10.11*9 15
東京地裁h9.4.14*10 15
東京地裁H17.11.14*11 15
仙台地裁H14.3.29 *12 15
?撮影を青少年条例違反の実行行為としたもの 15
千葉地裁H15.7.22*13*14 16
宇都宮地裁H14.7.24*15 16
富山地裁H15.9.22*16 16
エ高岡簡裁H14.11.15*17 16
(2)3項製造罪と児童買春罪は観念的競合 16
?函館地裁H19.3.26 16
?札幌高裁H19.9.4→上告棄却 16
?長野地裁H17.8.31*18 17
(3)3項製造罪と児童淫行罪は観念的競合 17
?横浜家裁横須賀支部H17.6.1*19(3項製造罪) 17
?東京高裁H17.12.26(3項製造罪)(上告棄却) 17
?長野家裁H18.4.20*20(3項製造罪) 18
?札幌家裁小樽支部H18.10.2*21(3項製造罪) 18
?名古屋家裁岡崎支部H18.12.5*22(3項製造罪) 19
?札幌高裁H19.3.8(3項製造罪) 19
?名古屋家裁H19.4.17*23(3項製造罪) 23
?東京高裁h18.1.10*24 23
ア 家裁事件  25
イ 地裁事件  26
(4)3項製造罪と青少年条例違反は観念的競合 27
?横浜地裁H17.11.29 27
?長野地裁佐久支部H19.7.6*27 27
(5)3項製造罪と強制わいせつ罪は観念的競合 27
?長野地裁H19.10.30*28 27
?札幌地裁H19.11.7*29(控訴棄却札幌高裁H20.3.13*30) 28
?東京地裁H18.3.24*31 28
(6)強要罪と3項製造罪は観念的競合 28
(7)「児童買春法違反事件裁判結果調」法務省刑事局 28
? H17〜2件 30
? H18〜5件 31
? H19〜10件 32
3 構成要件的行為の重なり合いが無くても、一個の社会的事象である場合 34
(1)児童買春罪−目的製造罪が観念的競合とされた裁判例 35
?富山地裁高岡支部H19.4.11*33 35
(2)児童淫行罪−目的製造罪も観念的競合 35
?千葉家裁H12.12.22*34(販売目的製造罪) 35
?横浜家裁H16.1.8*35*36(販売目的製造罪) 35
?奈良家裁H16.02.05*37(販売目的製造罪) 35
?東京家裁H16.10.25*38(販売目的製造罪) 35
?東京家裁H18.3.8*39(販売目的製造罪) 37
?東京家裁H18.3.27*40(販売目的製造罪) 37
?大阪高裁H18.9.21*41(提供目的製造罪) 37
4 東京高裁H19.11.6*42について 38
5 観念的競合とした裁判例のまとめ 44
6 下級審裁判例にみえる検察庁の見解 45
? 横浜家裁横須賀支部H17.6.1(3項製造罪) 45
? 長野家裁H18.4.20(3項製造罪) 45
? 奈良家裁H16.02.05(目的製造罪) 45
? 名古屋家裁岡崎支部H18.12.5(3項製造罪) 46
? 東京家裁H16.10.25(目的製造罪) 46
? 札幌家裁小樽支部H18.10.2(3項製造罪) 46
? 横浜家裁H16.1.8(目的製造罪) 46
? 名古屋家裁H19.4.17(3項製造罪) 46
? 東京家裁H18.3.8 (目的製造罪) 46
? 東京家裁H18.3.27(目的製造罪) 46
? 東京家裁H17.7.4 (目的製造罪) 46
7 学説 46
(1)松宮孝明「児童淫行罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係」法学セミナー '06.07 46
(2)川出敏裕「かすがいに当たる児童淫行罪を起訴せず児童ポルノ製造罪とその余の児童淫行罪を別々に起訴することの当否」ジュリスト別冊平成18年重要判例  46
(3)山本和昭「いわゆる『第3行為によるかすがい作用』をめぐる若干の問題点」専修ロージャーナル 3号 47
(4)白取祐司「12 一家3人殺人事件」有斐閣刑事法演習(第2版) 48
(5)辻本典央「罪数論と手続法との交錯」鈴木茂嗣先生古稀祝賀論文集 48
第2部 観念的競合説判例の形成過程 49
第1 はじめに 49
第2 静岡地裁・家裁浜松支部事件について 49
1 地裁事件(児童ポルノ製造) 49
(1) 一審判決(静岡地裁浜松支部H17.7.15*43) 49
(2) 控訴審判決(東京高裁平成17.12.26*44) 50
(3) 上告審(最高裁決定平成18.7.13*45) 50
2 家裁事件(児童淫行罪) 50
(1)一審判決(静岡家裁浜松支部H17.7.15*46) 50
(2) 控訴審判決(東京高裁平成H18.1.10*48) 50
3 地裁事件・家裁事件の関係 50
4 二重起訴・管轄違いの主張 51
第3 奈良地裁・家裁事件について 54
1 地裁事件(児童ポルノ製造) 54
(1) 一審判決(奈良地裁H18.1.13*49) 54
(2) 控訴審判決(大阪高裁平成H18.9.21) 54
(3)上告審(最高裁決定平成18.7.18*50) 55
2 家裁事件(児童淫行罪) 55
(1) 一審判決(奈良家裁H18.1.13*51 ) 55
(2) 控訴審判決(大阪高裁H18.10.11*54) 55
(3) 上告審(最高裁決定H18.7.18*55) 56
3 地裁事件・家裁事件の関係 56
4 二重起訴・管轄違いの主張 56
第4 札幌家裁小樽支部事件について 57
1 一審判決(札幌家裁小樽支部H18.10.2) 57
2 控訴審判決(札幌高裁H19.3.8) 58
第5 函館地裁事件(児童買春罪と3項製造罪は観念的競合)について 61
1 一審判決(函館地裁H19.3.26) 61
2 控訴審判決(札幌高裁H19.9.4) 62
3 上告棄却決定(最高裁H20.5.30*57) 63
第6 まとめ 64