法務省刑事局なんかに全裁判例がストックされている(特定の罪名について奥村弁護士が後追いしている)という噂だったんですが。疑問です。
「PC内蔵のHDD」をマスターテープとして、それを媒体にダビングして販売する場合、「PC内蔵のHDD」を売るわけではないのだから、「PC内蔵のHDD」には販売目的所持はないのではないかという議論。
参考文献
- 渡部惇「ダビングテープのみを販売する目的でマスターテープを所持した場合において,わいせつ図画販売目的所持罪が成立するとされた事例」法律のひろば 1992.10
- 角田正紀「猥褻図画販売目的所持における『販売の目的』の意義」研修504号82頁
- 判例タイムズ560号P59
- 宮崎礼壹「わいせつ物の頒布・販売の概念」警察学論集第40巻3号250
裁判例としては、わいせつ図画について富山地判平2・4・13、東京地方裁平成4年5月12日があって、検事殿も論告に引用されている。
弁護人は百も承知の裁判例で検討済み。
これじゃ、H2、H4当時の議論。ネットもPCも普及していない。児童ポルノ法もない。
もっと最近の裁判例を示して欲しいところです。
裁判例の存在は公知だと思ってあえて触れないのですが、実は、児童ポルノ罪でもこの事件でもPC本体をダビング用のマスターとして持っていたのを販売目的所持とした裁判例(西の方の裁判所)はあるのだが、検察官は示せない。これは最近幾らでもあると思う。
また、児童ポルノ罪でもバックアップ用データの所持を販売目的所持とした裁判例(東の方の裁判所)もあるのだが、検察官は示せない。
提供目的のダビングは製造罪だから、製造目的所持罪を作ればいいんですけど、立法者はお忙しくて実態に着目しないのでそこまで気が回らないようです。