児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童福祉法違反(淫行させる行為)と強姦罪

 期限を迫られてこんなこと考えさせられています。
 暴行脅迫がはみ出すとややこしいので、被害者は12才とします(177条後段)。
 両方の要件を充たしていて両方起訴されれば、罪数的には、観念的競合だと思います。強姦の法定刑方が重いから少年法37条2項で地裁管轄。

少年法第37条(公訴の提起) 
2 前項に掲げる罪とその他の罪が刑法(明治四十年法律第四十五号)第五十四条第一項に規定する関係にある事件については、前項に掲げる罪の刑をもつて処断すべきときに限り、前項の規定を適用する。
刑法第177条(強姦)
暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、二年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

 家裁に児童福祉法違反(淫行させる行為)だけ起訴されている場合は、管轄は訴因基準で考えるとしても、公訴事実の同一性の点では、強姦罪の事実も審判対象になっているわけだから、告訴無しに強姦罪が審理されることになります。
 被害者12才だと、もろに、児童福祉法違反(淫行させる行為)の事実と強姦の事実とが重複します。
 「強姦罪で告訴します」という調書がないとして、非親告罪である児童福祉法違反(淫行させる行為)の被害者調書で、親告罪の告訴になるのかを考えています。

刑訴法
第241条〔告訴・告発の方式〕
告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
②検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。

最決昭34・5・14
被害者またはその法定代理人の検察官または司法警察員に対する供述調書であっても、犯罪事実を申告し犯人の処罰を求める旨の意思表示が録取してあれば、告訴調書として有効である。