児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

小川憲久「技術的中立性とP2Pソフト製作者の責任」

 こんなこと書かれると萎縮する人もいるかと思うんですが、
 問題は著作権侵害罪という犯罪の成否ですから、客観面+主観面が評価対象です。
 構成要件の客観面が充たされても、主観面が欠ければ故意責任はありません。

小川憲久「技術的中立性とP2Pソフト製作者の責任」L&T2004.10
インターターネット自体は情報の流通と共有をもたらし,自由な社会にとって有用なものであるとともに,著作権侵害名誉毀損等の不法行為の有効な手段となり得るものである。しかし,後者ゆえにインターネット自体を違法なしくみであると考える者はいないであろう。それは,インターネットが中立的技術であり,悪用は悪用者の問題であるとの共通の認識があるからであろう。このインターネット技術のひとつがP2Pソフトであり,合法にも違法にも使用できる中立的技術である。ソフトウェア開発においても,ハードウェア開発と同様,開発者はさまぎまな用途を検討し,その一部として違法な用途に使用される可能性をも想定する。
その可能性の検討と認識をなしたうえで開発を続行することを,違法用途を認容したものととらえ,違法行為に加担したものと評価することは,開発自体を違法行為ととらえていることにほかならないことになる。すなわち,技術の中立性を認めないことを意味する。Winny事件において,裁判所は技術的中立性と侵害の寄与(幇助)をどのようにとらえるのか注目すべきものといえよう。