児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

再犯率

http://www.kumanichi.co.jp/iken/iken.html#20050109_0000005362
警察庁によると二〇〇三年の強姦(ごうかん)の再犯率は49・6%、強制わいせつは41・1%で、いずれも刑法犯全体の再犯率35・6%を上回っている。

 この
  49.6%
  41.1%
  35.6%
という数字ですが、
昔勉強した刑事政策では、

  49.6%も再犯する
  41.1%も再犯する
  35.6%も再犯する
という評価もできるが、
  49.6%しか再犯しない。50.4%は更生した。
  41.1%しか再犯しない。58.9%は更生した。
  35.6%しか再犯しない。64.4%は更生した。
とも評価できる。だから悲観することはない。

という言い回しが出てきて、新鮮でしたね。
 矯正と更生保護の成果を正当に評価して、必要であれば、予算・人材・アイデアを注ぎ込むことですね。票にならない分野ですけど。

統計の話なので、参考までに、犯罪白書H16の数字を紹介しておこう。

犯罪白書H16P98
犯罪者の中には,過去に犯罪歴がありながら再び犯罪を犯す者が存在し,中には,同じ罪種の犯罪を反復する者がおり,これらの者が犯罪動向全体に与える影響が少なくない。本章では,このような犯罪歴がある者による犯罪の動向を見る。
1-3-1-1図は,一般刑法犯(道路上の交通事故に係る危険運転致死傷を除く。以下,1-3-1-4表を除き本章において同じ。)の検挙人員中の再犯者(以前に検挙されたことがあって,再び検挙された者をいう。以下,本章において同じ。)の人員及びその比率(以下,本章において「再犯者率」という。)を,成人・少年別に,過去10年間について見たものである。
平成15年における同検挙人員中の再犯者は13万5,295人であり,再犯者率は35.6%であった。
人員及び再犯者率ともに9年以降増加・上昇が続いている。
成人の再犯者について見ると,人員は平成8年以降増加し,15年には9万4,914人となっており,また,再犯者率も7年以降上昇し,15年には40.4%となっている(少年については,次節参照。)

3 「再犯者」とは,以前に検挙されたことがあって,再び検挙された者をいう。
4 「再犯者率」とは,一般刑法犯検挙人員に占める再犯者人員の比率をいう。

犯罪白書H16P99
第1節 犯罪歴がある成人の犯罪
1-3-1-2図は,成人の一般刑法犯検挙人員中の,有前科者(過去に道路交通法違反以外の罪により確定判決で刑の言渡しを受けたことがある者をいい,執行猶予期間の経過等で刑の言渡しの効力が失われた場合を含む。以下,本章において同じ。)の人員及びその比率(以下,本
章において「有前科者率」という。)を,最近10年間について見たものである。平成15年における同検挙人員中の有前科者は6万6,971人であり,有前科者率は28.5%である。前科数を見ると,1犯の者が約3分の1を占めていて最も多い。同検挙人員中の有前科者は,8年以降増加1-3-1-3表は,平成15年における成人の一般刑法犯検挙人員について,有前科者の人員並びに同一罪種の前科がある者の人員及びその比率を,主要罪名別に見たものである。有前科者率は,一般刑法犯総数では28.5%であるが,脅迫及び恐喝では50%を超え,殺人,強盗,詐欺及び器物損壊では40%を超えている。また,同一罪種の前科がある者の比率は,一般刑法犯総数では13.7%であるが,傷害及び恐喝では20%を超え,窃盗及び詐欺では20%に近い。なお,覚せい剤取締法違反の検挙人員中,同法違反の検挙歴がある者の占める比率は55.1%となっている。

3 「有前科者」とは,過去に道路交通法違反以外の罪により,確定判決で刑の言渡しを受けたことのある者をいう。
ただし,刑法27条等の規定により刑の言渡しの効力が失われた場合であっても,その言渡しは前科としている。
4 「有前科者率」とは,成人の一般刑法犯検挙人員に占める有前科者人員の比率をいう。

資料編
1−3−1−3表 成人の主要罪名別検挙人員中の有前科者人員・同一罪種有前科者人員
H15 同一罪種の前科を有する者の比率
殺  人 (3.8)
強  盗 (6.7)
 強盗致死 (4.7)
傷  害 (20.6)
 傷害致死 (4.3)
暴  行 (12.5)
脅  迫 (10.2)
恐  喝 (20.1)
窃  盗 (18.6)
詐  欺 (19.8)
横  領 (4.0)
強  姦 (8.9)
強制わいせつ (11.5)
放  火 (5.7)
住居侵入 (12.9)
器物損壊 (8.3)
覚せい剤    (55.1)

犯罪白書2004
資料2-10 再入受刑者の前刑罪名別再犯期間
(平成15年)
総数 1年未満2年未満3年未満5年未満5年以上
総数 14,847 5,912 3,021 1,637 1,653 2,624
刑法犯 9,243 4,017 1,745 932 919 1,630
殺人 138 18 22 18 23 57
強盗 281 81 61 31 36 72
傷害 818 276 160 92 98 192
暴行 72 37 13 5 6 11
脅迫 41 22 10 3 − 6
恐喝 477 157 96 60 63 101
窃盗 4,990 2,393 960 471 442 724
詐欺 1,047 533 153 83 99 179
横領・背任 64 20 9 8 7 20
強姦 194 43 40 27 23 61
強制わいせつ 109 49 22 10 16 12
放火 83 34 13 10 7 19
住居侵入 166 101 27 14 11 13
暴力行為等処罰法176 71 35 23 17 30
業過 218 47 41 31 34 65
その他 369 135 83 46 37 68
特別法犯 5,604 1,895 1,276 705 734 994
銃刀法 155 53 28 18 18 38
麻薬取締法 13 2 1 2 5 3
覚せい剤取締法 4,367 1,478 1,044 551 575 719
売春防止法 36 14 4 2 9 7
道路交通法 661 156 142 98 87 178