児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

プロバイダ刑事責任に関する座談会=児童ポルノ

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040905#1094363319

 他人が投稿した児童ポルノ画像につき掲示板管理者を児童ポルノ公然陳列罪の正犯だとした横浜地裁H15.12.15・東京高裁H16.6.23は、業界では話題となっています。児童ポルノ掲示板業界・画像掲示板業界だけではなく、プロバイダー業界までも。刑法学会は児童ポルノ(特別法)なので関心薄い。

 「掲示板開設時点で実行の着手(未必の故意)があって、その後の管理行為が実行行為で、他人の投稿時に既遂」なんだということになると、匿名掲示板の管理者もプロバイダーも、既に、名誉毀損罪とか著作権侵害罪とか予想も付かない罪の作為犯の正犯です。知らないうちに既遂です。お気の毒様です。

 こういうのに弁護団組みたいところですが、児童ポルノですから。名誉毀損なら違ったでしょう。

 児童ポルノ弁護人は負けた事件について評釈を書いて、座談会にも呼ばれて語っているわけですが、他がみんな高裁判決批判なので、あえて、高裁判決の擁護を試みています。出版された暁には、「奥村弁護士、刑法総論、勉強仕直して来い」といわれそうですよ。御批判は、上告理由の補充として反映されることになります。そういう捨て身の作戦。

 確定は当分先ですが、判決は買って読んで下さい。

横浜地方裁判所平成15年12月15日
平成15年わ第2458号 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
判決
被告人
氏名  
生年月日  
本籍  
住居 
職業  
検察官 山崎文子
弁護人 奥村徹(私選)
主    文
被告人を懲役 年に処する。
この裁判確定の日から 年間その刑の執行を猶予する。

東京高裁平成16年6月23日 平成16年(う)第462号 被告人上告
 被告人に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件について,平成15年12月15日横浜地方裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察官泉良治出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
理由
 本件控訴の趣意は,弁護人奥村徹作成の平成16年3月10日付け(別紙により一部訂正されたもの),同月22日付け及び同月24日付け各控訴趣意書に,これに対する答弁は,検察官泉良治作成の答弁書にそれぞれ記載されたとおりであるから,これらを引用する。
第1論旨は,憲法違反の主張を含め,訴訟手続の法令違反,事実誤認,法令適用の誤り,量刑不当等詳細・多岐を極めている。しかし,当裁判所は,原審記録及び当審における事実取調べの結果をも併せて慎重に調査検討した結果,いずれの論旨も理由がないものと判断した。

(中略)

第5結論
 よって,刑事訴訟法396条により本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。
平成16年6月23日
東京高等裁判所第7刑事部
裁判長裁判官植村立郎
裁判官小池勝雅
裁判官荒川英明