児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ画像のweb掲載は陳列罪、データ送信は頒布罪、P2P送信は・・・

 刑法175条の改正が進んでいて、ネット上のわいせつ画像に対応します。
 しかし、改正後の条文を前提としても、web掲載はデータが送信されるんだから、頒布罪なんじゃないの?これまでの陳列罪構成の判例はどうするの?という疑問が残ります。
 この点については法制審議会の030515-1-1.txtに議論があって、法務省
  web掲載は、物の陳列
  データ送信は、電磁的記録の頒布
でいく見たいですね。
P2Pは電磁的記録の頒布
になるんでしょう。
法制審議会030515-1-1.txt
● ただ,公然陳列についても二つ概念がありますよね。外から見て媒体自体がわいせつなものを公然陳列するのと,それから,一定の処理方法を加えて,中にある情報を記録したデータを一定の形で外に出して,また情報,つまり観念にして表示する,この二つを公然陳列には含んでいるわけでしょう。だから,おっしゃられることだとすると,それは,後段そのものが要らなくなってしまうんじゃないですか。
● 私も同じことなのですけれども,従来は公然陳列でやっていたわけですよね,わいせつな電磁的記録を送るのは。後段を作られたということは,それは頒布で処理されるということだと。あるいは,記録媒体の公然陳列というのはもうなくなったのかなという感じを受けたのですが,間違っていますか。
● 後段を設けるのがここの改正の一番大きなポイントですが,それは,有体物の移転を伴わないといいますか,そういう形での頒布行為というのは現行法上で処罰できるのかどうか疑義がある。具体的には,電子メールでわいせつな画像を不特定多数の者に送るという行為は,有体物の移転を伴わないので,それが現行法に入るのかどうか疑義があるということで,それを処罰するということを明確にするために設けたものでございます。
 それから,先生がおっしゃったような御疑問が生じるので,そこが不明確にならないように,殊更,前段の方に「電磁的記録に係る記録媒体」を入れて,これの公然陳列は現行どおり前段に当たるということを明確にしようとしているということでございます。

 択一試験の問題に使えるような議事録ですが、略式レベルの犯人にとってはどっちでもいいから
 絶対、間違える実務家がでてくる。
 この際、ネット関係の罰条を整備する必要があると思うのだが、法務委員会が理解できるかどうか。

 しかし
MLでの送信を頒布罪にした略式命令と
同じMLの同じ行為を陳列罪にした地裁判決(確定 国選弁護人)
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040520#1085034961
は気の毒ですね。
 大阪高裁なら無罪なのにね。詳しい弁護士が付くかどうか、弁護士が論点知っているかどうかで明暗分けてしまいます。
 当職は、知らない分野の事件の依頼を受けた場合は、相談者と一緒に、詳しい弁護士に相談することにしています。相談者の相談料で。知ったかぶりで損するのは相談者ですし、ついでにこっちも勉強になるでしょ。
 そんな経緯で、専門の弁護士と共同で受任している事件が数件あります。