児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

サイバー犯罪に関する条約の批准に関する意見書

http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/04/2004_23.html

 改正案でも取得勧誘行為を処罰していないことは、日弁連の報告書等で指摘したことがありますが、
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/jfba030506syber.htm
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/031019.htm
 そんな弱腰な姿勢は、日弁連からは、こういう形でつっこまれることになります。



1. サイバー犯罪に関する条約(以下、「サイバー犯罪条約」という)は、人権保障の観点から、国民のプライバシーや通信の秘密に対する重大な制約となる危険性が大きく、その影響は極めて重大である。
したがって、当連合会としては、十分な議論がなされないまま同条約を批准することには反対せざるを得ない。
2. 仮に、サイバー犯罪条約を批准するとしても、人権保障の観点から、少なくとも、各条項ごとに認められた条件の付加や留保を最大限に行うべきである。


この規定には、わが国の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の内容を超えて、コ(以下「児童ポルノ処罰法」という)ンピュータ・システムを通じて児童ポルノの取得を勧誘し又はその利用を可能にする行為、自己又は他人のためにコンピュータ・システムを通じて児童ポルノを取得する行為及びコンピュータ・システム内又はコンピュータ・データ憶媒体内に児童ポルノ保有することをそれぞれ犯罪化することが求められる
とともに、未成年者に見える者や未成年者を表現する(同条1項b、d及びe)写実的画像も児童ポルノと扱うことが求められている。(同条2項b及びc)これらについては、サイバー犯罪条約を批准すれば、新たに児童ポルノ処罰法を改正して、その処罰範囲を大幅に拡大することが求められることになるが(但し、上記のうち、条約9条1項d及びe、同2項b及びcについては留保できる、いずれについても、現時点においては、わが国における立法事実は存しないと考えられるものであり、不当な処罰範囲の拡大に繋がるおそれがある。
なお、第159通常国会において、2004年3月12日、自民党議員による議員立法として、児童ポルノ処罰法の一部を改正する法律案が提出されているが、その法案においても、上記の各行為を処罰する内容とはなっていない。
これは、我が国において、上記行為を処罰することを必要とする立法事実が存しないことを裏付けている。