児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

単純所持の禁止へ(毎日新聞2007年2月19日)

 児童ポルノ提供罪や目的所持罪の解釈においては、包括一罪評価する裁判例もたくさんあって、司法では児童ポルノの存在や流通自体が虐待だという発想(立法者意思)なんてほとんど忘れられていますけどね。
 「個人的法益だとすると、被撮影者をいちいち特定せなあかんようになって困るがな」という高裁判決も出た。
 単純製造罪(3項製造罪(姿態とらせて製造))について「個人的法益ではない」と明言する地裁判決もあります。
 ここに至ってていきなり、単純所持で「虐待だ!」と言われても、唐突な感じがします。
 奥村弁護士はどの事件でも個人的法益説を貫いているんだけど、裁判所は反対。法解釈ですから、たとえ奥村弁護士(個人的法益論者)が嫌いであっても、理屈は間違わないで欲しいところです。
 単純所持規制に進む前に、ちょっと振り返って、各構成要件の保護法益を整理して欲しいところです。

特集:ネット君臨・識者座談会(その2止) 情報倫理の確立急げ
 ◆児童ポルノ
 ◇持つこと自体が虐待−−柳田氏/マンガの拡散も問題−−別所氏
 司会 児童ポルノの弊害は、インターネットが普及する前から指摘されていましたが、連載でも取り上げたようにネットを通じて児童ポルノの画像や動画が拡散しています。児童ポルノは単なるわいせつという次元ではなく、深刻な児童虐待です。ところが日本の現行法で処罰されるのは提供した側だけで、所持しただけでは処罰されません。日本以外の先進国ではおおむね所持も処罰の対象です。
 柳田氏 児童虐待は社会の深刻な負の文化であって、子供の精神形成にまで影響を与える虐待は何としても防がなければならない。児童ポルノには必ず被写体となる子供がいるわけで、持つこと自体が既に虐待に加担していると考えるべきだ。しかも被写体になる子供は幼児期から一生を台無しにしかねないほどの心の傷を背負って生きていかなければならない。これは性の自由などという問題ではなく、可能な限り撲滅する方法を皆で考えていかなければならないと思う。
司会 警察では所持についてどう考えていますか。
 竹花氏 昨年6月に活動を始めたインターネット・ホットラインセンター(注8)で、半年間に違法情報と判断した約2200件の通報のうち、500件超が児童ポルノの公然陳列だった。所持だけで罪を問う必要はないという議論もあるが、周りの人たちにもさまざまな影響を与える。マリフアナの所持を罰するのと同じことが言えるのではないか。私は警察を離れた身だが、国として許せないという明確な態度を示すべきだ。児童ポルノを持つというような権利が声高に主張されて保護されるべきものだとは思えない。
 別所氏 児童ポルノに関して世界的に処罰が厳しくなっている中で、刑罰が甘いと日本に集まってしまうという現実がある。世界水準で対応すべきだ。日本は今の単純所持の件で遅れているうえ、もう一つの論点としてアニメやマンガの問題がある。マンガは児童ポルノ禁止法の対象になっていない。写真と違って被害児童の存在を想定できないというのが立法時の議論だったが、ネット上での拡散の状況を見ると、単純所持やマンガも含めてあらゆる児童ポルノを禁止する時期に来ている。プロバイダーとして違法画像の削除を繰り返している立場からもそう考えざるを得ない。

 プロバイダは、現時点では、サーバー上に単純所持の事実があって、サーバーのどこかに違法画像があるといううすうすの認識(認識ある過失〜場合によっては未必の故意)があって、陳列もされているわけだから、刑法総則を形式的に適用すれば陳列罪の正犯ないしは幇助になる可能性がある。かろうじて故意を逃れることはできても少なくても過失と違法性は否定できない。
 だから、今ごろ必死になってるのよ。
 開き直って規制側に立ってしまうという方法と、免責する立法をするという方法があるでしょうね。

わいせつ校長:女子児童3人の下腹部触る 石川

 学校が危ない。
 性犯罪者保護観察者の居住先を監視するのもいいけど、「教員」という外観に油断してもいけない。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070220k0000e040034000c.html
校長は市教委の事情聴取に事実関係をおおむね認め、「大変なことをした」と話し、13日から体調不良を理由に出勤していないという。

贖罪寄附の趣旨は自分で書け!

 最初からひな形を要求する被疑者・被告人が多いです。
 窓口の見本にある
   「○○罪の罪を認め、贖罪の意思を表明するものである」
というのでは、弁護士に怒られてせっかく反省しているのに、自分の反省をアピールできない。
 かといって、最初から弁護士が代筆するのでは反省の気持ちがないと言われそうです。
 そこで、最初はご自身で書いてもらって、弁護士が添削するという段取りでやってもらっています。
 弁護士の手元には、たくさんの「贖罪寄附の趣旨」がありますが、以前、「先生」と呼ばれる職業の人は、すばらしい反省文(寄附の趣旨)を書いてくれて、そのまま出して、安めの罰金になりました。
 検察官は「そこまでわかってるんなら、そんなことしなければいいのに」と言ってました。

ストップ!有害情報 子供守れ“携帯水際作戦”

 いじめにはフィルタリングは効かないですよね。どのサイトでも書き込めるから。
 たとえば、ここで
    ××裁判官は馬鹿だ
    ○○検事は法廷で動揺していた
なんて書き込んでしまうと、フィルタリングできるかということです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070220-00000006-ryu-oki
インターネットの出会い系サイトなどの有害情報や掲示板のいじめが社会問題となる中、携帯電話大手各社は子供が持つ携帯電話の有害サイト接続を排除する「フィルタリングサービス」を強化し、県内でも普及が本格化している。NTTドコモは昨年12月からau沖縄セルラー電話ソフトバンクモバイルも今月から未成年者が携帯電話を契約する際に、フィルタリング機能を外すには親権者の同意を義務づけた。サービス提供は全国的にもまだ少なく、各社とも「積極的に利用してほしい」と呼び掛けている。
 フィルタリングはネット管理会社が安全と認めたサイトしか閲覧できないようにしたり、有害なホームページのキーワードが含まれるページを見られなくする機能。ドコモは「キッズiモード」、auは「EZ安心アクセスサービス」、ソフトバンクは「ウェブ利用制限」などだ。いずれも利用は無料。既に携帯電話を子供に持たせている親が利用したい場合も、電話で利用登録できる。

被害弁償(示談)の必要性

 犯人からも弁護人からもそんな質問ばっかりですが、費用対効果を考えて下さい。
   執行猶予確実か〜実刑危険大〜実刑確実どうか?
   被害児童本人に手渡すのはどうか?
 みんながやると、インフレ化・陳腐化して、本当にすべき時に効かなくなる。
 もともとお金で填補できる害じゃないのに、よく理解してないんじゃないですか?

オンラインゲームに友人のIDでアクセス 容疑の女、書類送検 /栃木

 こんなニュースばかりだと、不正アクセス罪って、アクセス制御機能により実現されるオンラインゲームに関する秩序の維持を目的にしているようです。

 アイテム盗んだら、窃盗罪じゃなくて、アイテム原簿(そういうのがあればね。それが権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録だとして)の改ざんで、私電磁的記録不正作出及び供用罪になる可能性があります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070220-00000043-mailo-l09
女は高校時代、会社員と友人で、昨年8月、会社員をゲームに参加するように誘った。その際、会社員のパスワードも入手していた。2人はゲーム上でグループを組んでいたが「初心者で、ルールを守らない会社員の存在がうざったいと感じ、ゲームの中で使うアイテム(道具)を盗み、削除しようと思った」などと供述しているという

刑法
第161条の2(電磁的記録不正作出及び供用)
人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。

淫行の質問

 質問が多い。
http://search.chiebukuro.yahoo.co.jp/search/search.php?flg=0&p=%E6%B7%AB%E8%A1%8C&sort=2
http://oshiete.goo.ne.jp/search/search.php?PT=&from=&status=select&MT=%B0%FC%B9%D4&mt_opt=a&qatype=qa&ct0=&ct1=&ct2=&st=before&tf=all&ct_select=0
でも頻出。

 これは判例があって、「例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いもの」は処罰されない。
 親族も公認とか、現在は婚姻しているとかなら不処罰なんでしょね。不倫とか、出会い系は難しい。
 もっとも、出会い系で知り合って結婚することもあるので、微妙な場合もある。
 気の毒なのは、真剣交際が破綻した後で、条例違反で検挙された場合だ。「真剣」じゃないという検察官立証に対する「真剣」の証明は難しい。

福岡県青少年保護育成条例違反被告事件
【事件番号】最高裁判所大法廷判決/昭和57年(あ)第621号
【判決日付】昭和60年10月23日
 そこで検討するのに、本条例は、青少年の健全な育成を図るため青少年を保護することを目的として定められ(一条一項)、他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除き、小学校就学の始期から満一八歳に達するまでの者を青少年と定義した(三条一項)上で、「何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつの行為をしてはならない。」(一〇条一項)と規定し、その違反者に対しては二年以下の懲役又は一〇万円以下の罰金を科し(一六条一項)、違反者が青少年であるときは、これに対して罰則を適用しない(一七条)こととしている。これらの条項の規定するところを総合すると、本条例一〇条一項、一六条一項の規定(以下、両者を併せて「本件各規定」という。)の趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に未だ十分に安定していないため、性行為等によつて精神的な痛手を受け易く、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであることが明らかであつて、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例一〇条一項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似制為をいうものと解するのが相当である。けだし、右の「淫行」を広く青少年に対する性行為一般を指すものと解するときは、「淫らな」性行為を指す「淫行」の用語自体の意義に添わないばかりでなく、例えば婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いものをも含むこととなつて、その解釈は広きに失することが明らかであり、また、前記「淫行」を目して単に反倫理的あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判を免れないのであつて、前記の規定の文理から合理的に導き出され得る解釈の範囲内で、前叙のように限定して解するのを相当とする。このような解訳は通常の判断能力を有する一般人の理解にも適うものであり、「淫行」の意義を右のように解釈するときは、同規定につき処罰の範囲が不当に広過ぎるとも不明確であるともいえないから、本件各規定が憲法三一条の規定に違反するものとはいえず、憲法一一条、一三条、一九条、二一条違反をいう所論も前提を欠くに帰し、
すべて採用することができない。

 なかには、教員が教え子と真剣交際ということもあるでしょう。教え子と結婚する人もいるし。その場合の児童福祉法違反(淫行させる行為)についても、上記の理屈がそのままあてはまるはずだ。

違法性の意識欠如(児童淫行罪について結婚の真意があること)
1 はじめに
 本件各児童淫行にあたっては、被害児童の真摯な承諾があり、かつ、結婚を前提に交際している等の状況からみて承諾は社会的に見て相当であるから、違法性が阻却される。
 さらに、仮に違法とされたとしても、被告人には違法性の意識がないから、刑法38条3項但書によって、児童淫行罪については、減軽する必要がある。原判決は違法性の意識を欠いた点に刑法38条3項但し書きを適用して減軽しなかった点で重すぎて不当であり、量刑不当により破棄を免れない

2 児童淫行罪の限定解釈
 判例*1によれば、児童に対する性的行為のすべてが処罰されるわけではなく、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう」と限定解釈をするのである。

福岡県青少年保護育成条例違反被告事件
【事件番号】最高裁判所大法廷判決/昭和57年(あ)第621号
【判決日付】昭和60年10月23日

 これは児童淫行罪についてもそのまま妥当する。
 すなわち、児童淫行罪の淫行については、判例

名古屋高等裁判所判決昭和54年1月25日
児童福祉法三四条一項六号にいう「児童に対し淫行をさせる行為」とは原判決が引用する昭和四○年四月三〇日最高裁判所第二小法廷決定にいう「児童に対し淫行することを強制強要する場合のみならず、直接たると間接たるとを問わず児童に対し事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し、促進する行為を包含する」ものと解するところ、右の「事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する」との趣旨は、当該児童が淫行するか否かの意思決定をするについて、これを左右し支配するに足る心理的、物理的強制力を加えることが必要であるとか、犯人と淫行をなした児童との間に雇用状態や性関係のむすびつき、或は相互の経済的、物質的利益の授受などの行為が存することを必要不可欠の要件とするものとは理解し難く同法文が「淫行をさせる行為」とした文辞の解釈上その行為の態様として少なくとも児童をして淫行行為をすることを容易ならしめて、これを助長し促進する事実上の影響力のある行為の存在を必要とし、またそれをもつて足るものと解するのが相当である。

などとされ、現実に性的行為を強要されたことも、現実に事実上の影響力と性的行為との間の因果関係も必要ないとされているので、師弟関係のように事実上の影響力がある関係がある場合には、そういう関係があっても、被害者において、真摯な承諾があり結婚を前提にして真剣な交際が行われていることがありうるところであって、そのような場合には、性交・性交類似行為があっても違法性を阻却されうるのである。

3 本件の違法性阻却事由
(1)被害児童の承諾
 性的行為にあたり、被告人が被害児童を騙した・脅した・強制したという全く要素はない。
 被害者の真摯な承諾が認められる。

(2)社会的相当性
 さらに本件では社会的相当性がある。
 被告人と被害児童が、本件犯行当時、結婚を前提に相思相愛の関係で交際していたことは、証拠上明かである
 交際中は結婚を前提にして真剣に交際していた。
 民法上の「婚姻可能年齢」が満16歳であるが(民法731条)、16歳になって出会っていきなり婚姻ということはありえないのだから、16歳以前の段階でも満16歳での婚姻を前提とする親密な交際が民法上も許容されていて、刑法上の社会的相当行為とされるのである。
 本件でも、被害児童と被告人とが婚姻に至っていれば、児童淫行罪についても、個別の行為の時点でも、社会的相当行為(結婚を前提とする真剣な交際)として、何らの犯罪にもならないところである。
 そうであるならば、たとえ交際が破綻したとしても、個別行為の時点で社会的相当性を備えていた以上は、さかのぼって違法性を帯びることはない。

4 まとめ
 児童淫行罪については、被害者の承諾+社会的相当性により違法性が阻却されるから、成立しない。
 児童淫行罪について有罪とした原判決は法令適用の誤りにより破棄を免れない。
 さらに、仮に違法とされたとしても、被告人には違法性の意識がないから、刑法38条3項但書によって、児童淫行罪については、減軽する必要がある。

預かった少女への淫行容疑で男を逮捕 補導委託制度悪用

 児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)。
 どこで狙われるかわかりませんね。
 国賠になるかもしれませんね。
 委託した東京家裁が裁くんですね。

http://www.asahi.com/national/update/0220/TKY200702200347.html
容疑者(63)を児童福祉法違反(淫行(いんこう)をさせる行為)の疑いで逮捕していたことが分かった。調べに対し容疑者は、「自分の気持ちに負けた」と容疑を認めているという。これまで8人の少女を家裁から預かっており、同庁は余罪の有無についても調べている

補導委託は、家庭裁判所が非行少年らの処分を決定する前に、一定期間、民間人に預ける制度。一緒に生活しながら少年・少女の更生を促す目的で、約280人が登録しているという。
容疑者は86年に委託先として登録。最高裁家庭局は「なぜこうなったのかを調べ、各家裁に注意を促したい」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070220-00000092-jij-soci
容疑者は昨年12月28日、経営する治療院に近い埼玉県蕨市のアパートで、補導委託制度で預かっていた都内の高校2年の女子生徒(17)にわいせつな行為をした疑い。「欲望に負けた」と容疑を認めているという。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070220-00000089-mai-soci
しんきゅう院近くのアパート一室で、東京家裁の同制度で預かっていた女子高校生(17)にわいせつな行為をした疑い。高校生はしんきゅう院に住み込みで働いていた。
 「補導委託制度」は、非行行為のあった少年少女に対し最終処分を決める前に一時的に民間に預ける制度。容疑者は86年ごろ東京家裁から委託先として登録を受けた。これまでに8人の少女を預かっていたが、「他の少女にわいせつ行為はしていない」と供述しているという。

 予想される量刑理由

補導委託制度を悪用して制度の信頼性を失わせた
被害児童に帰責性がない。
被告人との性交も多数・常習的
身よりない児童に飲食や宿泊を提供して支配したことに乗じた
居住先持たない児童を寝泊まりさせることは、事実上心理的拘束していたのと同じだ
自宅に住み込んだのを奇貨として窮状につけ込んだ
児童に対する性犯罪の被害を防ごうとしている世論が高まっている今日・・・
児童の弱みや無思慮につけ込んだ

http://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_syonen/index.html
補導委託
Q.少年はどのくらいの期間,補導委託先に預けられるのですか。
A.少年の状況に応じて異なりますが,数か月程度,補導委託先に預けられ,その様子を見ることが多いようです。
Q.補導受託者(補導委託で少年を預かる責任者)となるためには何か条件があるのですか。また,特別な資格などは必要ですか。
A.補導受託者となるための条件はありません。また,特別な資格も必要ありません。熱意を持って少年を指導していただけること,それだけです。
 ただ,少年を預かって,生活全般についての指導をしていただくことになりますので,適当な環境や設備を備えていること,少年の秘密を守ることなどに配慮していただいています。詳しくは,家庭裁判所に備え付けてあるパンフレット「少年たちにあなたの力を」をご覧ください。また,(少年事件を担当している)家庭裁判所調査官宛にお問い合わせください

Q.少年を預かったときにかかった費用はどのようになるのでしょうか。また,補導受託者に報酬は支払われますか。
A.補導受託者への報酬はありませんが,実際に少年を預かっていただいたときは,少年のために必要となった食費,交通費などの実費について,その全部又は一部が支払われています。

Q.補導受託者となって少年の指導に困ったり,指導がうまくいかないときには,どうすればよいのでしょうか。
A.担当の家庭裁判所調査官に相談することになります。補導委託の期間中は,補導受託者が実際に少年を指導しますが,担当の家庭裁判所調査官も,月に1,2回程度は補導委託先を訪れて少年や補導受託者とお会いし,少年の生活の様子などをお尋ねしたりします。また,電話や書面などでも補導受託者とよく連絡をとるようにしています。補導委託がうまくいくためには,補導委託先と家庭裁判所が協力することが大切です。少年のことで困ったことがあれば,どんなことでも家庭裁判所に相談してください。

 量刑は親族の場合と同じ。逃げられないから。

 児童淫行罪は家裁の専属管轄。
 余罪に青少年条例違反や強制わいせつや強姦があったりすると、それは地裁に起訴され、泣き別れになります。
 量刑も二重評価(ロリコン加重2回)で併合審理に比べてやや重になります。
 せめて判決の時期をずらせば、考慮してもらえるんですが。地裁事件と家裁事件が別々の国選弁護人になったりすると、そういう連携がとれないので気の毒です。

痴漢行為に強制わいせつ罪が適用された事例

 別個の罪なんですけど、実務ではある点を境目にして容疑が切り替えられているようです。
 ということで迷惑条例違反についても、被害弁償(示談)交渉をします。
 こういう条例は、どこの地方にもあるので、国法に取り込んでもいいと思います。新幹線や飛行機なら、何県条例かわからないから。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070219-00000067-kyt-l25
草津市JR東海道線南草津駅草津駅間の電車内で、大津市内の女子高生(16)のスカート内に手を入れ、体を触った疑い。
 同署によると、容疑者は草津駅で降車後もつきまとい、女子高生が「痴漢です」と声を上げたため、逃走した。改札口で滋賀県警鉄道警察隊員が県迷惑行為等防止条例違反容疑の現行犯で取り押さえた。その後、車内での行為が判明し、容疑を切り替えた。

 保護法益は社会的法益だそうです。

合田悦三「いわゆる迷惑防止条例について」(『小林充・佐藤文哉先生 古稀祝賀刑事裁判論集 上巻』)
念のために痴漢行為や盗撮行為に適用される規定である「卑わい行為の禁止」規定の保護法益に絞って更に述べておけば、文末の一覧表にあるとおり、「ひわい行為の禁止」規定はすべての都道府県条例にあるが、それらはいずれも卑わい行為が禁止される場所を、「公共の場所」又は 「公共の乗物」 に限定している。 この規定が個人法益を寸ろうとしているのであれば、禁止の場所をこのように限定するのはあまりに不徹底で不合理である。このことは、いわゆる性犯罪のうち、個人法益に関する罪であることに異論がないと思われる強姦罪や強制わいせつ罪において成立の場所的限定がないことを指摘するだけで明らかであろう。迷惑防止条例における「卑わい行為の禁止」規定が公共の場所や乗物においてのみ適用されるのは、公共の場所や乗物で卑わい行為が横行しているようでは、「県民生活の平穏」 が保持できない危険があるからであって、逆に言えば、その範囲で卑わい行為を禁止しておけば、一般的、包括的、概括的な意味での、公衆レベルでの 「県民生活の平穏」が寓される危険がないという理由に基くのである。それ故、迷惑防止条例の 「卑わい行為の禁止」規定の保諸法益も社会法益の類型に属するものと言うべきである。

「刑が重過ぎる」または「刑期に不満はあるが,仕方がない」とする回答の割合43.7%、「軽すぎる1.9%」

 刑罰ですから、それくらいじゃないと効かないです。
 ちゃんと量刑しないと不満・不公平感がもっと増えるでしょうね。

受刑者に対する釈放時アンケート集計結果
http://www.moj.go.jp/KYOUSEI/kyouse23.html
 受刑における目標として「罪を償う」とする回答が10,864件と最も多かった。この次に回答の多かったのが「働く習慣をつける」で6,587件となっている。
 なお,「特に目標を立てなかった」とする回答は1,230件,「刑務所にできるだけ長くいる」とする回答も84件とわずかだが見られた。

 「刑務所化」「ムショぼけ」って言うそうです。