児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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「社員食堂」は、「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に該当しないが、「工場の室内の診察場所として使用するためにカーテン等で囲われた部分」は「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」(府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例6条3項)に該当する(大阪地裁)

「工場の室内の診察場所として使用するためにカーテン等で囲われた部分」は「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」(府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例6条3項)に該当する(大阪地裁)
 d1-lawに出ているので解説します。

当時の大阪府条例
第六条 
3 何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、姿態を見ること。
二 みだりに、姿態を撮影すること。

となっていて、場所が「住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」に限定されていました。
 当初訴因の「社員食堂」は、「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」じゃないという主張は通って、「工場の室内の診察場所として使用するためにカーテン等で囲われた部分」に訴因変更されています。

変更前訴因
 被告人は
第1 常習として
1 別表1記載のとおり、令和年月日午後時分頃から同日午後時分頃までの間、2回にわたり、B市内の工場社員食堂において、健康診断の内科検診を受診中の被害者A(当時32歳)ほか2名に対し、動画撮影状態にした携帯電話機を使用して、同人らの露出した胸部等を撮影し、もって人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人に対し、みだりに、姿態を撮影し

判例ID】 28320201
【事件名】府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反、
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 近道暁郎 金友宏平 長谷川豪
【出典】 D1-Law.com判例体系

罪となるべき事実)
第1 (訴因変更後の令和5年2月7日付け起訴状記載の公訴事実第1)
  被告人は、常習として、
 1 別表1記載のとおり、令和年月日午後時分頃から同日午後時分頃までの間、2回にわたり、別紙1記載1のB市内の工場の室内の診察場所として使用するためにカーテン等で囲われた部分において、健康診断の内科検診を受診中の別表1記載のA(当時32歳)ほか2名に対し、動画撮影状態にした携帯電話機を使用して、同人らの露出した胸部等を撮影し、もって人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人に対し、みだりに、姿態を撮影し、
(法令の適用)
罰条
 第1 府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例15条2項、1項1号、6条3項2号(第1の1及び2)、1項1号(第1の3)
・・・・

(弁護人の主張に対する判断)
1(1) 弁護人は、第1の1及び2の事件現場は「人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」(府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(本条例)6条3項)に該当しないと主張する。