ということですので、提供罪で処理してしまった人は、以後気をつけて下さい。
ファイル共有を提供罪とする裁判例
最近はweb掲載行為等によるデータの拡散を提供罪とする裁判例やファイル共有ソフトで提供する目的で所持する行為を5項所持罪(不特定多数)とする裁判例もある。
金沢地裁小松支部H19.2.28
奈良地裁H20.10.15
奈良地裁H21.1.29
奈良地裁H20.7.10
奈良地裁H20.4.4
追記
サーバーに上げると提供罪だと言っていた森山・野田・島戸説は判例で否定です。
議員立法で政権交替なんてことになると、責任者不在になって、裁判所が独走します。もう検事の解説は信じない。
森山野田「よくわかる改正児童買春ポルノ法」P202
Q50児童ポルノの画像を閲覧できるサイトにハイパーリンクを設定した場合にはどのような犯罪が成立しますか。
A 事案にもよりますが、児童ポルノ公然陳列罪(第7条第4項)の共同正犯、幇助犯や、児童ポルノを不特定多数の者に提供する罪(第7条第4項)の共同正犯、幇助犯が成立する可能性があります。
島戸「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」警察学論集57-08
Webサーバーのコンピュータのハードディスクに児童ポルノの画像データ(電磁的記録)を記憶・蔵置させて不特定多数の者がそのデータの画像を認識できる状態を設定した場合(当該ハードディスクにアクセス可能な状態にした場合)、当該コンピュータのハードディスクが、児童ポルノを内容とする電磁的記録に係る記録媒体に該当し、児童ポルノの公然陳列罪が成立する(最3/ト判平成13年7月16日刑集55巻5号317頁参照)。
その際、不特定多数の者が、当該画像データを閲覧するために、当該ハードディスクにアクセスして、その児童ポルノの画像データを自己のコンピュータにダウンロードした場合に、当該不特定多数の者の行為を介して、同人らのコンピュータに児童ポルノを内容とする画像データを提供したこととして、児童ポルノを内容とする電磁的記録の提供罪が成立するか否かについては、様々な考え方があり得るところであるが、混合包括一罪として児童ポルノの公然陳列罪一罪の法定刑の範囲内で処理されることになると考えられる。
大阪高裁H21.9.2
また,弁護人は,本件は,児童ポルノ公然陳列罪ではなく,児童ポルノ提供罪が成立する旨主張するが,本件が児童ポルノ公然陳列罪に該当することは,一審判決が「補足説明」の項で正当に説示するところである。
なお,弁護人の主張にかんがみ,付言するに,児童ポルノ法の平成16年改正で,電磁的記録の提供(同改正後
の同法7条4項後段)を新たに処罰の対象として新設し,かつ,児童ポルノの定義(同法2条3項)に「電磁的記録に係る記録媒体」を明記した趣旨は,同改正前の同法において,児童のポルノに係る電子データを記録媒体に記憶させ,これをインターネット上で不特定多数の者に閲覧させた場合には,上記電子データが記憶・蔵置された記録媒体を有体物としての児童ポルノとし,その公然陳列があったとして,児童ポルノ公然陳列罪が成立すると解されていたところ,これを前提として,同改正前の同法では処罰の対象として含めることに疑義があった電子メールにより児童のポルノを内容とする電磁的記録を送信して頒布する行為の処罰を新設するとともに,この改正に伴い,解釈上の疑義が生じないように児童ポルノの定義中に「電磁的記録に係る記録媒体」が含まれることを明示したというものである。このような同法の改正の趣旨にかんがみれば,本件が児童ポルノ提供罪に当たらないことは明白である。
以上のとおり,一審判決に法令の適用の誤りはない。弁護人の主張は,採用できない。