児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「姿態をとらせ」の構成要件的位置づけと罪数問題↑→

 前田最新250とかをみると、
 「姿態をとらせ」の位置づけ
 生成行為との同時存在
 性犯罪との重なり合い
 性犯罪との罪数
については、最判H18と東京高裁H17は違いますよね。
最高裁の「身分犯」というのには面食らいます。

追記
 けったいな刑法学者さんに指摘されましたが、
http://strafrecht.typepad.jp/blog/2006/06/post_9608.html
AV撮影について、児童淫行罪と販売(提供)目的製造罪との観念的競合の裁判例(家裁)は幾つかあります。その事件では、撮影が淫行だと評価された。

目的製造と観念的競合とするもの
 奈良家裁H16.2.5(販売目的)
 奈良家裁H16.1.21(販売目的)
 東京家裁H16.10.25(販売目的)
 横浜家裁H16.1.8(販売目的
 千葉家裁H12.12.22(販売目的)

姿態とらせて製造罪と観念的競合とするもの
 横浜家裁横須賀支部H17.6.1
 東京高裁H17.12.26
 長野家裁H18.4.20
 札幌家裁小樽支部H18.10.2
 札幌高裁H19.3.8
 名古屋家裁岡崎支部H18.12.5


他方、
目的製造と併合罪とするもの
 大阪高裁H18.10.11(提供目的)
 大阪地裁H17.7.15(公然陳列目的)

 しかし、撮影は性交・性交類似行為ではない以上、これを社会見解上の一個の行為とするのは無理があって、「社会見解上・・・」と述べた観念的競合についての大法廷判決(S49など)からは外れています。
 大阪地裁H17.7.15なんて「社会的にみて同時に2個以上の行為が併存することは必ずしも珍しいことではなく、(例えば電話で会話しながら身振りで近くの部下に指示をする、風呂に入りながら本を読むなど)、両行為が同時に為されたことの一事をもって直ちに1個の行為とみることはできない」と説明しています。