児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(千葉県)3条2項の定める卑わい行為の対象となった者(以下「A」という。)は,本件犯行により直接の被害を被ったとされる者で刑訴法290条の2所定の被害者に当たる(東京高裁H26.10.30)

 青少年条例違反罪ではどうかというので調べました。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(千葉県)3条2項の定める卑わい行為の対象となった者(以下「A」という。)は,本件犯行により直接の被害を被ったとされる者で刑訴法290条の2所定の被害者に当たる(東京高裁H26.10.30)
高等裁判所刑事裁判速報集平成26年111頁

       理   由

 弁護人の控訴趣意の論旨は,「原審は,被害者特定事項について公開の法廷で明らかにしない決定をしているが,本件行為の対象とされるAはそもそも被害者に該当しないから同決定は違法である。」というものである。
 しかし,着衣の上から左胸をなでて触られたAは本件犯行により直接の被害を被ったとされる者で刑訴法290条の2所定の被害者に当たることは明らかであり,Aの法定代理人である母からの被害者特定事項の秘匿の申出につき,秘匿することが相当との意見を付した検察官の通知を受け,原審弁護人の「しかるべく」との意見を踏まえてした被害者特定事項について公開の法廷で明らかにしないとの原審の決定に何ら違法な点は見当たらない。
備考
卑わい行為の対象者については,実務上,刑訴法290条の􀀀2に基づきその特定事項を法廷で明らかにしないとの決定がなされ,弁護人も異議を述べないことが多いと思われる。しかしながら,卑わい行為禁止規定の保護法益については,社会的法益であるとの説(例えば,合田悦三「いわゆる迷惑防止条例について」《小林充•佐藤文哉先生古稀祝賀刑事裁判論集上巻》)もあり,卑わい行為の対象者が刑訴法290条の 2所定の被害者に該当しないとの考えも理論上はあり得るところ,本裁判例は,同条の適用を認めた高裁判決として紹介するものである。