児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ひそかに製造罪10件で懲役2年実刑(帯広支部R2.3.17)

「至近距離から怪しまれずに撮影するための眼鏡型のカメラ」といういのは、そういう姿態を取るように仕向ける言動があると、ひそかに製造罪ではなく姿態とらせて製造罪の可能性があります。

令和 2年 3月17日 
釧路地裁帯広支部 
事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件

 上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官田中昭博及び私選弁護人佐々木誠各出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
 被告人を懲役2年に処する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,
第1(令和元年12月18日付け起訴状記載の公訴事実第1)
 平成29年7月1日午前10時50分頃から同日午前10時51分頃までの間,北海道内の保育園ログハウス内において,同保育園1階南側テラスで水遊びをしていた同保育園の園児A(当時6歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,同人の全裸の姿態をデジタルカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させ,さらに,同日頃,北海道帯広市〈以下省略〉当時の被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第2(令和元年12月27日付け起訴状記載の公訴事実第1)
 平成29年7月5日午前10時43分頃から同日午前10時44分頃までの間,前記保育園ログハウス内において,前記保育園1階南側テラスで水遊びをしていた同保育園の園児B(当時3歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,同人の全裸の姿態をデジタルカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させ,さらに,同月6日頃,前記当時の被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第3(令和元年12月27日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 平成29年7月14日午前11時16分頃から同日午前11時17分頃までの間,前記保育園ログハウス内において,前記保育園1階南側テラス付近で水遊びをしていた同保育園の園児C(当時4歳)及びD(当時5歳)がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,前記Cらの全裸の姿態をデジタルカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させ,さらに,同日頃,前記当時の被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第4(令和元年12月27日付け起訴状記載の公訴事実第3)
 平成29年7月15日午前10時44分頃から同日午前10時45分頃までの間,前記保育園ログハウス内において,前記保育園1階南側テラス付近で水遊びをしていた同保育園の園児E(当時4歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,同人の全裸の姿態をデジタルカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させ,さらに,同日頃,前記当時の被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第5(令和元年12月27日付け起訴状記載の公訴事実第4)
 平成30年7月2日午前11時頃から同日午前11時1分頃までの間,前記保育園ログハウス内において,前記保育園1階南側テラス付近で水遊びをしていた同保育園の園児F(当時5歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,同人の全裸の姿態をデジタルカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させ,さらに,同日頃,前記当時の被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第6(令和元年12月18日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 平成30年8月3日午前10時46分頃,前記保育園ログハウス内において,前記保育園1階南側テラス付近で水遊びをしていた同保育園の園児G(当時4歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,同人の全裸の姿態をデジタルカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させ,さらに,同日頃,前記当時の被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第7(令和元年10月23日付け起訴状記載の公訴事実第1)
 令和元年6月26日午前10時24分頃から同日午前10時25分頃までの間,前記保育園2階廊下において,同所で着替えをしていた同保育園の園児らがいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,別紙1記載の各児童の全裸の姿態を眼鏡型カメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラ内蔵メモリに記録させ,さらに,同日午後5時13分頃,同市〈以下省略〉被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第8(令和元年12月18日付け起訴状記載の公訴事実第3)
 令和元年7月29日午前11時12分頃から同日午前11時13分頃までの間,前記保育園物品庫内において,前記保育園園庭砂場付近で水遊びをしていた同保育園の園児H(当時4歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,同人の全裸の姿態をデジタルカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させ,さらに,同日頃,前記被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第9(令和元年12月18日付け起訴状記載の公訴事実第4)
 令和元年7月31日午前10時53分頃から同日午前10時55分頃までの間,前記保育園ログハウス内において,前記保育園1階南側テラス付近で水遊びをしていた同保育園の園児I(当時6歳)及びJ(当時5歳)がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,前記Iらの全裸の姿態をデジタルカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させ,さらに,同年8月1日頃,前記被告人方において,その動画データをパーソナルコンピュータを介して外付けハードディスクに記録させて保存し
第10(令和元年10月23日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 令和元年9月9日午前10時56分頃から同日午前11時13分頃までの間,北海道内の前記保育園専用駐車場に駐車中の自動車内において,前記保育園1階南側テラス付近で着替えをしていた同保育園の園児らがいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,ひそかに,別紙2記載のとおり,5回にわたり,各児童の全裸の姿態をビデオカメラで動画撮影し,その電磁的記録を同カメラに装着したSDカードに記録させて保存し
 もってひそかに衣服の全部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写し,児童ポルノを製造したものである。
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 被告人の判示各所為はいずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項,2項,2条3項3号に該当するところ(判示第3,第7,第9及び第10はいずれも包括一罪),各所定刑中いずれも懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の最も重い判示第10の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年に処することとする。
 (量刑の理由)
 本件は,犯行時に保育園職員であった被告人が,同保育園の園児である女児らを盗撮して記録媒体に保存し,児童ポルノを製造したという児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反10件の事案である。
 被告人は,女児の裸に性的な興味を抱くようになり,自己の性的欲求を満たす目的で,本件各犯行に及んだのであるから,その身勝手な動機に酌むべき事情は全くない。被告人は,自ら勤務していた保育園において,その日に水遊びが行われ,園児が裸になることを把握した上,勤務時間中に,園内の建物内や駐車場の発覚しにくい場所からひそかに盗撮行為を繰り返していたのであり,本件各犯行は計画的であるだけでなく,児童を守るべき立場にある職員が,その立場を利用した卑劣で背信的な犯行というほかなく,強い非難を免れない。また,被告人は,遠距離から撮影可能なビデオカメラを用いたり,至近距離から怪しまれずに撮影するための眼鏡型のカメラを購入したりして盗撮行為に及んで児童ポルノを製造したのであるから,犯行態様は巧妙で悪質である。被告人は,2年余りの間に,合計10回にわたり,合計18人に上る女児の裸を盗撮して児童ポルノを製造したのであり,被害児童の人格を無視した本件各犯行に対して,被害児童の保護者の多くが被告人に対して厳重処罰を望むのは十分理解できるところである。
 以上のとおり,本件各犯行の内容や結果からすれば,被告人の刑事責任は非常に重く,本件は実刑相当の事案である。
 しかしながら他方,被告人は,捜査・公判を通じて本件各犯行を認め,大多数の被害児童の保護者に対して謝罪文を送付しているほか,二度と盗撮をしない旨を述べるなど反省の情を示していること,2名の被害児童の保護者と示談し,宥恕を受けたこと,被告人は,勤務していた保育園から懲戒解雇されたこと,被告人には,これまで前科・前歴がないこと,被告人の妻が,当公判廷において被告人の監督を誓約していることなど被告人のために酌むべき事情も認められる。
 以上の事情を総合考慮し,被告人に対しては主文のとおり刑の量定をした。
 (求刑 懲役3年)
 釧路地方裁判所帯広支部
 (裁判官 小西慶一)