児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「愛知県で、妻子のある男性(当時31歳)が、女子高校生(同17歳)と性的関係を持ったとして同県の青少年保護育成条例違反(淫行)容疑で逮捕、起訴されたが、翌年に名古屋簡裁が「真摯な交際だった」と判断、無罪判決を言い渡した例がある。だが、全国的にこうしたケースはほとんどなく、冤罪の可能性は低いのが実情だ。」読売

 逮捕されてからでも弁護人がホテル以外の交際の事実を集めて主張すれば起訴猶予になることが多く、起訴されて判決で冤罪認定されることは少なくなっていますが、真剣交際でも逮捕されることは珍しくありません。「冤罪の可能性が低い」ということはありません。
 児童・青少年が交際している場合でも、親が被害届出すとオッサンが逮捕され、弁護士は高いし詳しい弁護士はいないし、どうせ30万円くらいの罰金の略式命令なので、そのまま罰金払っちゃうことが多いんだよ


[検証 性被害条例](上)処罰対象行為は限定的(連載)=長野
2016.06.15 読売新聞
 全国の都道府県で唯一、18歳未満の子供との意に反する性行為を禁じる条例のなかった長野県は、16日に開会する県議会6月定例会に、処罰規定を含む「子どもを性被害から守るための条例」案を提出する。阿部知事が条例制定に向けて検討を始めると表明してから3年4か月、県は県民との間で議論を重ねてきたが、反対意見は依然根強い。議会審議を前に、県の性被害条例案について検証した。

 「自由な恋愛に公権力が立ち入ることにならないか」。4月9日に県庁で開かれた意見交換会。県が2月に公表した性被害条例案骨子を巡り、会場から阿部知事に質問が突きつけられた。知事は「自由で真摯(しんし)な恋愛は認めると骨子にはある」と答えたが、さらに「本人たちにとっては真摯な恋愛でも、被害を受けていると見られ、処罰を受けることもあるのでは」との声が上がる。意見は堂々巡り、終始かみ合わなかった。

 長野県では40年以上にわたり、自治体や学校、家庭など地域ぐるみで取り組んできた「県民運動」の歴史がある。条例に頼らずに子供の安全を守ってきたという自負。それが全国で唯一、条例制定をとどまらせてきた。条例制定に反対する県民の中には、処罰規定を設けたことで、冤罪(えんざい)を生む可能性があるとの意見がある。

 こうした声を受け、県は条例案で、18歳未満との性的な行為を一律に「淫行」と名付けて処罰対象とすることを避け、「威迫し、欺きもしくは困惑させることによる性行為」と規定した。これは「淫行」の定義について示した、1985年の最高裁判決に準拠する。処罰対象となるのは、子供たちが冷静に状況を判断できなくなる事態だと限定することで、冤罪を防げるとの姿勢だ。

 実際に「冤罪」は起こっているのだろうか。2006年には愛知県で、妻子のある男性(当時31歳)が、女子高校生(同17歳)と性的関係を持ったとして同県の青少年保護育成条例違反(淫行)容疑で逮捕、起訴されたが、翌年に名古屋簡裁が「真摯な交際だった」と判断、無罪判決を言い渡した例がある。だが、全国的にこうしたケースはほとんどなく、冤罪の可能性は低いのが実情だ。

 県警の捜査員も「18歳未満との性行為を片っ端から摘発していく、というわけではない」とした上で、「刑法の強制わいせつ罪や児童買春・児童ポルノ禁止法など現行法令では処罰できない性犯罪に対処し、被害者の処罰感情に応えたいだけだ」と話す。
読売新聞社