児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

握手が「卑わいで不安等又は著しいしゅう恥を覚えさせるような言動」だという弁護士の回答

 宮崎県の条例だと
  卑わいで不安等を覚えさせるような言動
  著しいしゅう恥を覚えさせるような言動
が検討されるというんですが、握手だと「卑わい」「しゅう恥」には当たらないでしょう。
 5条1項のつきまとい行為の中の「追随し・・・身体又は衣服を捕らえることその他の不安等を覚えさせるような方法により、執ように、つきまとい」だと思います。

女子高生に握手強要の男を逮捕 えびの、県条例違反容疑=宮崎
2014.05.09 読売新聞社
 列車内で女子高校生に無理やり握手しようとしたとして、えびの署は、容疑者(34)を宮崎県迷惑行為防止条例違反(つきまとい行為等の禁止)の疑いで逮捕し、8日、宮崎地検都城支部に送検した。「女子高校生と握手したかった」と容疑を認めているという。
 同署の発表では、容疑者は1日午後6時45分頃、えびの市内を走行中のJR吉都線普通列車内で、帰宅中の県内の女子高校生(16)の前に座って「かわいいね」「何歳?」「握手しよう」などと話しかけ、無理やり右手をつかんで女子高校生に不安を与えた疑い。
 女子高校生が列車内にいた同級生に助けを求めると、容疑者は別の車両に移動したという。翌日に高校の教諭に相談し、高校側が通報した。同署によると、これまでにも列車内で男が女子高校生に声をかけたり握手を求めたりすることがあったという。

列車内で女子高生と握手したら逮捕
2014.05.11 関西テレビ Mr.サンデー 報道/ニュース/ニュース富士ソフト株式会社
列車内で女子高生に握手を求めて逮捕された男。その男と実際に握手した女子高生たちは番組のインタビューに、そのときの状況を説明した。空いた車内で、女子高生2人が座るボックス席に座り込んだ男は丁寧に話しかけてきたという。すると、握手を求めてきたので、挨拶程度に握手に応じた女子高生たち。調べによると男は、これまでも列車内のさまざまな女子高生に握手を求めており、警察から警告も受けていた。そんな中、握手を求められたある女子高生が「怖くなった」と通報したことにより、逮捕となった。

https://www.pref.miyazaki.lg.jp/police/reiki/41190101007400000000/41190101007400000000/41190101007400000000.html
公衆に著しい迷惑をかける行為の防止に関する条例
平成11年12月24日
条例第74号
(卑わいな行為の禁止)
第2条 何人も、道路、公園、広場、駅、興行場その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)又は電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、人に対し、卑わいで不安等又は著しいしゅう恥を覚えさせるような言動をしてはならない。

(つきまとい行為等の禁止)
第5条 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 待ち伏せし、追随し、又は住居、勤務場所、学校、宿泊場所等を訪れ、かつ、言い掛かりをつけること、すごむこと、身体又は衣服を捕らえることその他の不安等を覚えさせるような方法により、執ように、つきまとい、又は面談を求めること。
(2) 電話又は文書により、虚偽若しくは粗野で不安等を覚えさせるような事項又は卑わいで著しいしゅう恥を覚えさせるような事項を執ように告げること。

http://www.bengo4.com/other/1146/1289/b_250469/
Q 2014年05月08日 10時35分

弁護士の回答
公共の場所で不安を覚えさせるような言動をしたということもしくは、卑わいな行為の禁止に違反したものと考えられます。
2014年05月08日 10時40分

追記
 こっちの弁護士も条項の取り違え。
 いくらなんでも握手が卑わい行為はないだろう。

http://gendai.net/articles/view/newsx/150069
弁護士の山口宏氏はこう言う。
迷惑防止条例というのは、もともと規定が漠然としていて、いかようにも運用できるようになっている。当局がムチャクチャな運用をするはずがないという信頼の上に立って、条文の乱用は想定していないのでしょうが、握手で逮捕となると、ちょっとやり過ぎですね。握手なんて、そもそも知らない人間同士がするもので、女性の肌に触れるといっても、いわゆる、わいせつとは趣旨が違う。握手がダメなら、AKBの握手会はどうなるのかという話です。わいせつの定義は、時の警察の胸三寸でどうとでもなることがハッキリした事例だと思います」
宮崎県の場合、条例の規定はこうだ。
〈何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人に対し、卑わいで不安等又は著しいしゅう恥を覚えさせるような言動をしてはならない〉

 今回の事件は、女子高生に握手を求めた行為が、「卑わいで不安等又は著しいしゅう恥を覚えさせ」たということなのだろうが、迷惑防止条例の規定はどこも似たり寄ったりである。

「こういう事例は、どんどんエスカレートし、拡大解釈されていきがちです。たとえ直接に触れなくても、ジロジロ見て女性に羞恥心を感じさせたら、逮捕されることになりかねない。恐ろしい世の中になってきました」(山口宏氏)

http://taniharamakoto.com/archives/1427
握手しただけで逮捕されるってマジですか!?
早速、今回の事件を法律的に見ていきましょう。

「公衆に著しい迷惑をかける行為の防止に関する条例」
(通称:宮崎県迷惑行為防止条例)
第2条(卑わいな行為の禁止)
何人も、道路、公園、広場、駅、興行場その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)又は電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において、人に対し、卑わいで不安等又は著しいしゅう恥を覚えさせるような言動をしてはならない。
これに違反した者は、6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金、常習者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。

今回の場合、手を握ったことが「電車の中で、卑わいで不安や羞恥を覚えさせる行為」と判断されたということでしょう。

また、他のも同じようなケースが数件あったということで、常習者と判断されたと考えられます。

胸やお尻をさわれば犯罪だというのは、みなさんも知っているでしょうが、手を握っただけでも逮捕される可能性があることは初めて知った人も多いのではないでしょうか。

相手が望まない形での身体の接触には注意してほしいと思います。

ちなみに、「迷惑行為防止条例」は名称の違いはありますが、全国47都道府県すべてで施行されています。

「法律」と「条例」の違いを訊かれることがありますが、簡単に言うと、「法律」は国が定めるルールで、「条例」は地方自治体が法令に反しない範囲で定めることができるルールということになります。

ところで、「握手」が仕事のひとつという職業の人もいます。
アイドルや演歌歌手、それから政治家などですね。

選挙期間中、候補者が、なかば無理矢理握手してまわるのは犯罪か? という疑問が出てきますが、大抵の場合、「羞恥または不安を覚えさせて」はいないので、無罪ということですね。
不安なのは、「当選するかどうか」という政治家の方ですね。
男性は、女性の身体を触りたい衝動にかられることがあるかもしれませんが、必ずしも胸やお尻などを触る場合だけが犯罪になるのではなく、手や背中、頭などを触る場合も犯罪が成立することがある、と憶えておいてください。
最後になぞかけです。
恋人の心とかけまして、
政治家の握手と解きます。
そのココロは・・・
どちらもガッチリとつかむことが大切です。

http://avance-keiji.doorblog.jp/archives/6419286.html
弁護士法人アヴァンセ 刑事・少年 弁護士ブログネットワーク
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2014年05月09日
握手しよう
先日,電車内で女子高生の前に座り「握手しよう」などと話しかけ,断り切れずに女子高生が差し出した右手を掴んだとして,宮崎県迷惑防止条例違反の疑いで,男が逮捕されました。
このニュースにはみなさん驚かれたことでしょう。
そこで本日は,この事件の逮捕罪名である迷惑防止条例について述べていきたいと思います。
迷惑防止条例とは,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し,都道府県民の平穏を保持することを目的に制定されたものです。
この条例で規制される行為は,卑わいな行為等,不当な金品の要求行為(たかり行為),押売行為等,不当な客引き行為等や反復したつきまとい行為等などです。
都道府県の条例を読むと,上記のような基本的な条文の他に,雪国ではスキー等をする際の危険行為を具体的に規制していたり,海水浴場が多い土地などでは海水浴をする際の危険行為を具体的に規制していたりしており様々です。
これらに違反したときの罰則はそれぞれですが,6カ月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金が科せられることが多いです。


それでは今回,宮崎県の迷惑防止条例はどのように規定していたのでしょうか。

第2条
何人も,道路,公園,広場,駅,興行場その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)又は電車,乗合自動車,船舶,航空機その他の公共の乗物(以下「公共の乗物」という。)において,人に対し,卑わいで不安等又は著しいしゅう恥をおぼえさせるような言動をしてはならない。

なお,この場合の罰則規定は上記に記載した通りとなっております。
それでは,「卑わいで不安等又は著しいしゅう恥をおぼえさせるような言動」とはどのような行為なのでしょうか。握手はこのような行為にあたるのでしょうか。
この点に関して,最高裁平成20年11月10日の決定で『「卑わいな言動」とは,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいう』とされています。この決定では,ショッピングセンターにおいて女性客の後ろを執ように付けねらい、デジタルカメラ機能付きの携帯電話でズボンを着用した同女の臀部を近い距離から多数回撮影した行為が,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動に当たるとされました。
それでは本件行為はどのように考えるべきなのでしょうか。
報道によると,逮捕された男は女子高生に対し,「高校はどこ?」「かわいいね。」などと執拗に話しかけ,その後「握手しよう」と強要しており,さらにその近くに座っていた別の女学生にも同日,同様の手口で握手を迫っていたということのようです。
上記最高裁の決定と比較して,身体の接触を強要するという点では本件の方が態様が重いといえそうですが,ただのナンパの延長ともいえそうな本件行為を被疑事実として逮捕することは行き過ぎのような気もします。
どちらにしろ,この罪名による規制はどんどんエスカレートし,拡大解釈されていきがちですので,同様の行為をしているという方はご注意下さい。
(大阪支部 弁護士 福田俊介