児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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性犯罪前歴者に対するGPS着用の義務化に関する質問主意書

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a177262.htm
質問本文情報
平成二十三年六月二十日提出
質問第二六二号

性犯罪前歴者に対するGPS着用の義務化に関する質問主意書
提出者  秋葉賢也



性犯罪前歴者に対するGPS着用の義務化に関する質問主意書


 平成二十二年版犯罪白書によると、平成十二年上半期に全国の刑事施設を出所した者の出所後の再犯率は、強姦の前歴がある者の同種再犯で九.四%となっており、特に、強姦の満期釈放者の同種再犯では二〇.六%と、殺人等の他の重大事犯に比べて著しく高くなっている。
 法務省は、平成十八年度から、刑務所、保護観察所において性犯罪者処遇プログラムを実施しているが、全地球測位システム(以下「GPS」という。)による性犯罪前歴者の行動監視は行っていない。
 一方、先進諸国では、GPSを使用した性犯罪の前歴者の行動監視を行っている国もある。
 右を踏まえ、以下質問する。
1 警察が行っている「子ども対象・暴力的性犯罪」の出所者による再犯防止に向けた措置では、「子ども対象・暴力的性犯罪」の出所者の中には所在不明となる者も少なくないと聞いているが、ここ五年間で所在不明となった者は何人いるのか。また、その原因は何か。さらに、所在把握の強化にどのように取り組んでいるのか。
2 米国、フランス、英国、韓国等では、再犯を防止するため、性犯罪前歴者にGPS所持を義務付けているが、諸外国においては、それにより主にどのような効果があるのか。
3 我が国において、犯罪の予防という観点から、性犯罪前歴者に対し、GPS着用義務化を行う場合、二重処罰の禁止をはじめ、プライバシー権、居住・移転の自由といった憲法で保障されている権利との関係で、それぞれどのような問題があると認識しているのか。
4 性犯罪前歴者に対してGPS着用を義務付ける制度については、様々な課題があるため、多面的な検討が必要ではあるものの、犯罪の予防という観点からメリットもあると考えられるが、このような制度を設けることについて、政府として、どのように考えるのか。
 右質問する。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b177262.htm
答弁本文情報

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平成二十三年六月二十八日受領
答弁第二六二号

  内閣衆質一七七第二六二号
  平成二十三年六月二十八日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員秋葉賢也君提出性犯罪前歴者に対するGPS着用の義務化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



衆議院議員秋葉賢也君提出性犯罪前歴者に対するGPS着用の義務化に関する質問に対する答弁書



1について
 御指摘の「警察が行っている「子ども対象・暴力的性犯罪」の出所者による再犯防止に向けた措置」については、平成十七年六月一日より実施し、本年五月三十一日時点で八百四十六人の出所者が対象となっているところ、四十一人について警察がその所在を確認できていない。
 出所者の所在が確認できていない原因については、保護観察に付されていない出所者について住所の届出義務が課されていないことや、出所者の社会復帰等を妨げないよう、警察官と出所者の接触を控えてきたため、効果的な所在の確認を行うことが困難であったこと等が考えられる。
 こうした状況を踏まえ、警察においては、本年四月一日以降、出所者に対して定期的な訪問を行うことにより所在の確認を強化しているところである。
2について
 米国、フランス、韓国等においては、現在、性犯罪者等のうち一定の者に対して、GPS装置を着用させる制度が設けられているものと承知しているが、性犯罪の再犯防止に対するこれらの制度の効果を明確に示す公的な資料の存在については承知しておらず、その制度の効果についてお答えすることは困難である。
 英国においては、平成十六年から平成十八年までの間、一定の者にGPS装置を着用させる制度の試行が行われたが、その後、その制度の導入には至っていないものと承知している。
3及び4について
 御指摘のような制度を設けることについては、犯罪を予防する効果の有無や程度をどのように考えるか、どのような根拠に基づいてどのような者を対象にどのような措置を採ることが許容されるのか、対象者の社会復帰のための努力を阻害するおそれがないか、対象者や家族の生活に悪影響を及ぼすのではないかなどの様々な問題が考えられるところであり、お尋ねの「二重処罰の禁止」、「プライバシー権」、「居住・移転の自由」等との関係を含め、様々な観点からの慎重な検討が必要であると考えている。