定義を捜してきました
第34条〔禁止行為〕
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為
二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為
三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為第60条
②第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する
注解特別刑法7風俗・軽犯罪編第2版「児童福祉法」
〔児童にこじきをさせる等の行為〕
第二号 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為
本号の趣旨
「こじき」は、古くから社会通念上不道徳な行為とされてきたものであり、軽犯罪法一条二二号において「こじきをし、またはこじきをさせた者」を処罰している。
本号は、直接には前記児童虐待防止法に基づく内務省令の児童に乞食をさせることを禁止する規定に由来するもので、児童が人格形成の過程で、これを習慣的に行うに至れば健全な発育が阻害されることが明らかであるところかしたがって、本号は右軽犯罪法の規定の加重類型にほかならなら、児童保護のために本号が設けられたものである。
「こじき」とはいわゆる物乞いの行為、すなわち不特定または多数の人の憐びんの清ないし同じ情心に訴えて、自己のために金銭その他の物品の無償交付を受けることをいい(、その行為にでた以上金品を現実に取得したか否かを間わない。したがって、托鉢僧のように人の宗教心に訴える場合や交通遺児のため募金を求める行為のように自己のためにするのでない場合には、これにあたらないが、反面なんらかの対価の提供を伴うようにみえても、社会通念上有償とはいえない場合には、こじきにあたる。
こじきをさせる
「児童にこじきをさせる」とは、児童をしてこじきをするに至らしめる原因となる限り、命令、指示、誘導、欺罔、など方法のいかんを問わないが、六号の場合と同様、児童において、個々の行為を自発的に行う場合でも、児童に直接ないし間接の事実上の影響力を及ぼして、これを助長し促進するものであることを必要としよう。親権者など児童を保護ないし監護すべき地位にあるものが、ことさらに児童に食物等を与えず放任した結果、児童においてこじきをするに至った場合は、その者の一定の不作為が、ここにいうこじきをさせる行為にあたる場合もあろう。
売春 注釈特別刑法第8巻 児童福祉法 売春防止法 P772
三こじきをさせる行為等(第一項第二号)
1 趣旨及びこじきの意義
本号は、児童にこじきをさせること等を禁止している。
「こじき」とは、不特定の人に、もっぱら自己の姿態を認識させること又は物乞いすることによって金品の施与を求め、それによって生活の資を得ている者又は得ようとする者をいう。他人が金品を施与する動機は、同情や慈悲心に基づくことが多いであろうが、これに限らず、例えば、門口に立っていられることの不快感から早くその場を立ち去らせるために金品を施与することも有り得る。通常、「こじき」の概念は、個々に金品の施与を受ける行為を集合的にとらえていると考えられる。したがって、ある短時間内に現実に金品の施与を受けられなかったとしても、なお「こじき」というを妨げない。
2 児童にこじきをさせ、の意義
「児童にこじきをさせ」とは、児童に右の「こじき」行為をさせることである。右の違反行為が成立するには、結局は事実認定の問題であるが、当該違反者の作為又は不作為によって「児童にこじきをさせ」たと認められねばならない。児童の年齢やその生活環境いかんによっては、保護者が放任している間に児童が自発的に「こじき」をしたと認定すべき場合も有り得よう。
3 児童を利用してこじきをする、の意義
「児童を利用してこじきをする」とは、児童のいたいけなさを利用して白から「こじき」行為をすることで、その場合、児童を随伴し、これを利用しているとの認識が必要であるが、児童に積極的に物乞いをさせることなどは必要ではない
4 軽犯罪法との関係
軽犯罪法第一条第二二号に、「こじきをし、又はこじきをさせた者」を拘留又は科料に処する旨の規定が存するが、本号の規定は、「児童を利用して」の特殊な「こじき」の態様をより重く処罰しようとするもので、本号違反の罪は、右軽犯罪法の罪に対し特別法の関係にある
5 罪数等
「こじき」という概念は、前記のとおり、いわゆる物乞い行為を反覆累行することが予定されているので、利用する児童ごとに包括的に一罪となり、一人の児童に「こじきをさせ」るとともに、その「児童を利用してこじき」をしたと認められる場合も全体として一罪が成立する。
「こじき」行為の性質上、何人からどれだけの金品の施与を受けたかを特定することは望ましいことではあるが、事実上困難であり、「こじき」という概念がいわゆる物乞い行為の集合であるところからして、右の受施与内容を特定し得なくとも、「こじき」行為をしたことが明らかにされていれば、公訴事実の特定を欠かないと解される。「被告人は物貰いをして生計を維持していたものであるが、昭和三十三年二月下旬頃から同三十四年二月二十七日頃までの間、A(S22生)を伴い、熊本、宮崎、大分、福岡、山甲島根、岡山、広島等各県に於て人家の戸口に立って金品を乞い、以て児童である右A にこじきをさせ、又は同女を利用してこじきをしたものである。」と判示する裁判例(大分家裁中津支判S34 )がある
法務省女子及び年少者の福祉・保護に関する特別法罰則関係執務資料集
警視庁防犯部 福祉犯罪質疑回答集 昭和59年2月
本号の適用事例
神戸家昭41・7 ・18
水戸家昭35・11・16
大阪家昭35・8・23
大分家中津昭34・4・27
以下は報道
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111019-00000115-san-soci
小5長男に物乞いさせる 大阪の路上、容疑の父逮捕
小学5年の長男(11)に路上で物乞いさせたとして、大阪府警吹田署は18日、児童福祉法違反の疑いで、大阪府池田市の建設作業員の父親(33)を逮捕した。父親は「子供が勝手にやったこと。私には全く意味が分からない」と否認しているという。
逮捕容疑は9月12日午後9時25分ごろ、吹田市豊津町の地下鉄江坂駅近くの路上で、長男に「財布を落としたので100円でもいいんで貸してもらえませんか」と物乞いさせ、通行人の女性(31)から200円をせびらせたとしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111018-00000994-yom-soci
「100円でも」小5長男に物ごいさせた父逮捕
男は「子どもが勝手にやったこと」と容疑を否認しているという。
発表によると、男は9月12日午後9時25分頃、吹田市豊津町の大阪市営地下鉄御堂筋線江坂駅近くの路上で、小学5年の長男(11)に「100円でもいいので貸してもらえませんか」と物ごいさせ、通行人の女性(31)から200円を受け取らせた疑い。
長男は「お父さんから『財布を落としたと言えば、知らない人でもお金をくれる』と言われ、8月から週2、3回やった。お金はすべてお父さんに渡した」と話している。父親は近くに止めた車内にいたという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111018-00000094-jij-soci
小5長男に物乞いさせる=容疑の33歳父逮捕―大阪府警
小学5年の長男(11)に物乞いさせ、200円を受け取らせたとして、大阪府警吹田署は18日、児童福祉法違反容疑で、大阪府池田市、建設作業員の父親(33)を逮捕した。調べに「子供が勝手にやった」と容疑を否認しているという。
逮捕容疑は9月12日夜、同府吹田市豊津町の大阪市営地下鉄御堂筋線江坂駅前で、長男に「財布を落としました。100円でもいいので貸してもらえないですか」と物乞いをさせ、通行人の女性(31)から200円を受け取らせた疑い。
同署によると、長男は「父親から『財布を落としたと言えば、知らない人からでもお金がもらえる』と言われ、5、6回で2000円ぐらい受け取った。お金は全部父親に渡した」と話している