保護法益は「勤労の美風」のようなもので、公然性は要求されていません。
不特定の人に哀れみを乞い,自己又は自己の扶助する者のために生活に必要な金品を受けようとする行為であれば、「カンパ」「「Amazon.comの「ほしい物リスト」を提示して、様々な物品を贈ってもらう」という名目であっても「こじき」行為に該当します。
犯罪になる行為について、弁護士がよく調べないで「犯罪にならない」という回答をして、それに従って罪を犯した場合、「A弁護士がそう言ってた」と弁解しても、処罰されますよ。多少は違法性の意識は減るでしょうが。
軽犯罪法
第1条〔軽犯罪〕
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十二 こじきをし、又はこじきをさせた者
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伊藤栄樹・勝丸充啓軽犯罪法新装第2版 p164
「こじきをする」とは,不特定の人に哀れみを乞い,自己又は自己の扶助する者のために生活に必要な金品を受けようとすることである。
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軽犯罪法新装第2版 伊藤栄樹・勝丸充啓p164
本号の趣旨
働き得る全ての人が勤労によって生活を維持すべきことは,社会道徳の要求であり,その道徳律に反する行為を禁止しようとするのが,本号の本来の趣旨である。
しかしながら,本号は.行為の主体を働く能力を有する者に限定していなし、。これは,働く能力を有しない者は,憲法第25条の要請に基づき,国又は公共団体によって整備されるべき各種福祉措置によって保護されるであろうことを予定しているものといわなければならない。本号の具体的運用の面からいっても,それらの措置の完全な整備が期待されるゆえんである。
http://www.bengo4.com/hanzai/b_329668/
Q2015年03月10日 16時09分 「カンパ」Amazon.comの「ほしい物リスト」は「こじき行為」か
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A弁護士の回答2015年03月10日 16時37分
「こじき」がどのような行為を指すのかについて,最高裁で争われたケースはないと思いますが,一般に,正当な理由なく,公衆の面前で不特定多数の者に対して物乞いをすることが,「こじき」と認められるでしょう。第一に,「「カンパ」をお願いする行為」が罰せられることは到底あり得ません。
「こじき」が,自己または自己の扶養する者の生活費を乞うことであると考えても良いですし,正当な理由があるとみてもよいでしょう。
托鉢なども,「こじき」ではないと考えられますが,これは,修行のために必要であるという,正当な理由が認められるからでしょう。第二に,今まで争われたことはありませんが,近時の摘発例を見ても,道路,公園等,公衆の面前で行われることが要件になると考えられます。
というのは,軽犯罪法がこれを処罰することとしたのは,「健全な公衆環境の維持」を狙いとしていると考えられるからです。
この観点からは,「Amazon.comの「ほしい物リスト」を提示して、様々な物品を贈ってもらう例」など,ネットを介した物乞い行為は,それが生活必需品等の物乞いであっても,「こじき」には該当しないと考えられます。