児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

吉田雅之「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律」について 捜査研究723号

11)いわゆるバグについては,プログラミングの過程で作成者も知らないうちに発生するプログラムの誤りないし不具合をいうものであり,基本的には,重大なものも含め,コンビュータの使用者にはパグは不可避的なものとして許容されていると考えられることから「意図に沿うべき動作をさせず,文はその意図に反する動作をさせる」との要件も「不正な」との要件も欠くこととなり,不正指令電磁的記録には当たらないこ
ととなる。
他方,実際にはほとんど考えられないものの,プログラムの不具合による結果が,一般に使用者がおよそ許容できないものであって,ソフトウェアの性質や説明などに照らし,全く予期し得ないものであるような場合には,不正指令電磁的記録に当たり得る場合があると考えられるが,不正指令電磁的記録に関する罪が成立し得るのは,そのプログラムが不正指令電磁的記録であることを認識した時点以降の行為についてであり,それより前の時点における行為については成立しない。
すなわち,作成罪についてはそのプログラムを作成した時点で,提供罪についてはこれを提供した時点で,故意及び目的がなければ,これらの罪は成立しない。また,そのプログラムを事情を知らない第三者のコンビュータで実行され得る状態に置いた場合であっても,その時点において,それが不正指令電磁的記録であることを行為者が認識していなければ,供用罪は成立しない。

イ第175条(わいせつ物頒布等)
(ア第l項関係
a改正前の本条前段では「わいせつな文書図画その他の物」と規定され,その対象が「物」とされていたことから,例えば,電子メールでわいせつな画像を不特定文は多数の者に送信して取得させるなどの行為については,その適用の可否について裁判例が分かれていたが,このような行為は,実質的にみて,有体物としてのわいせつ物を頒布する行為と違法性の点で何ら変わらないといえる。そこで,それらの行為が処罰対象に含まれることを明確にするため,本項後段において.「電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布」する行為が処罰対象として掲げられた。
電磁的記録の「頒布」とは,不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録を存在するに至らしめることをいう。
bまた,前記aの改正に伴い,解釈上の疑義が生じないよう,本項前段において,わいせつ物の中に「(わいせつな)電磁的記録に係る記録媒体」が含まれることを確認的に明示することとされた。
C本法律では,改正前の本条前段から「販売し」との文言を削ることとされたが,これは,後記何)aのとおり,改正後は.「頒布」に「販売」が含まれることとなるためであり,これまで「販売」として処罰してきた行為を処罰しないこととする趣旨ではない。
(イ)第2項関係
a本項は,改正前の本条後段に所要の修正を加えつつ,これを第2項として規定したものである。
すなわち,改正前の本条後段では.「販売の目的」と規定され,ここにいう「販売」とは,不特定又は多数の者に対して有償で所有権を移転させる行為を意味するものと解されてきたが,現在では,わいせつな電磁的記録自体を頒布する場合や,有体物としてのわいせつ物を有償でレンタルする場合のように,所有権の移転を伴わずに拡散させる行為が容易に行われるようになっている。
そこで,これらの行為を目的とする場合も処罰対象に含まれることを明確にするため.「有償で頒布する目的」に改められた。
これに伴い,改正後は.「頒布」は,従来の「販売」を含む概念として用いられることとなる。
b本法律により,わいせつな電磁的記録を保管する行為も処罰対象として掲げることとされた。電磁的記録の保管とは,電磁的記録を自己の実力支配内に置くことをいう
(ウ)法定刑
改正後においても,懲役刑及び罰金刑の上限は従来と変わらないが本条の罪は利得目的で行われるのが通常であることに鑑み,懲役刑と罰金刑の任意的併科ができることとされた。