児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童・青少年と淫行・わいせつ行為をして「年齢を確認した」「18歳以上だと確認した」という弁解。

 だいたいの道府県には、淫行する際に、公的書類で年齢確認する義務を負わせています。「単に年齢や生年月日を尋ねただけでは確認したとはいえない。」とされています。
 ちゃんと確認してから淫行しろということなんでしょうね。自分の身分は明かさずに、女の子に「身分証明書を確認させろ」と求めることになります。
 雇用関係でもないのにこういう重い義務を負わされて、文句言わないんですね。

群馬県青少年健全育成条例の解説h19
【解説】
本条は、罰則のある規定のうち青少年に対する違反行為に関して、違反者は相手が青少年であることを知らないことを理由として処罰を免れることができない旨を定めたものであり、相手方が青少年であるか否かについての確認義務を課したものである。
1  年齢の確認手段は、運転免許証、住民票、学生証等の年齢を証明することができる資料によって確認したり、保護者に問い合わせて確認するなど客観的な方法による措置が必要とされており、単に年齢や生年月日を尋ねただけでは確認したとはいえない。
2 「当該青少年の年齢を知らないことについて過失がないとき」とは、相手方である青少年に対し、年齢を証明することができる資料の提出を求めて年齢を確認するなど客観的に妥当と認められる方法により確認したにもかかわらず、青少年が虚偽の資料を呈示し、しかも、その青少年が客観的に青少年ではないと誤認されるような体格、容貌である場合等をいう。

判例
(昭和30.10.18 東京高裁)
児童を接客婦として住み込ませようとする場合には、その周旋人はもとより、児童本人その親等も右周旋人の示唆等により、雇主に対し年令を偽り、満18歳以上であるように装うことは、世上一般的に行われ希有の事実でないのであるから、単に、児童の体格風貌等が18歳以上に見え、右の者等において18歳以上であると告げたからといって、さらに戸籍抄本等につき正確な年令の調査をすることなく、その児童に淫行させた場合には、児童福祉法第34条1項6号の違反が成立し、同法第60条3項但書の児童の年令を知らないことについて過失のない場合には当らない。
( 昭和30.11.8 最高裁(小) )
接客婦として児童を雇入れるにあたり、単に本人の供述または身体の外観的発育状況のみによって、同女が満18歳以上に達しているものと判断し、さらに客観的な資料として戸籍抄本、食糧通帳もしくは父兄等について正確な調査を講じ、児童の年令を確認する措置をとった形跡の認められない限り、児童を使用する者が児童の年令を知らなかったことについて過失がないということはできない。
( 昭和33. 9. 3 東京高裁)
児童を雇入れるに際して、年令等について本人らにこれを尋ねただけで、本人の年令の自称を漫然と受入れ、同女に売淫させていた場合には、児童福祉法第60条3項但書にいう「過失がないとき」に当らない。

京都府青少年健全育成条例の解説(平成18年5月)
8 第6項は、第13条の2第4項、第13条の3第2夜、第14条の2第2項、第18条の2第2攻、第21条から第24条まで( 第23条第2項の規定を除く。) 、第24条の4の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、処罰を免れえないこと及び当該青少年の年齢を知らないことに過失がないことの挙証費任が当該行為者側にあることを規定したものである。
同項の「当該青少年の年齢を知らないことに過失がないj とは、青少年に年齢、生年月日等を尋ね、又は身分証明書の掲示を求める等、客観的に妥当な確認措置をとったにもかかわらず、青少年自身が年齢を偽り、又は虚偽の証明書を提出し、しかも当該青少年が客観的に18歳以上の容と誤認されるような状態である場合等、行為者の側の過失がないと認められる場合をいう。