児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

非接触型わいせつ行為

 どんどん広がっています。

参考文献
強制わいせつ罪におけるわいせつ行為について 捜査研究50年4月号61頁 
研修674「運転席シートと運転席座布団に精液を付着させた事案につき,強制わいせつ罪の成立が認められた事案」
松下裕子「被害者の用便中の姿態を見たり、自己の陰部を被害者に見せつけるなど、・・・」警察公論第58巻1号

高見成美「強制わいせつ罪の成否が問題となった事例」捜査研究 第663号
5 同種事案の検討
(1) Aの勾留後.Aの取調べを進めて,被告人の手口,犯行の動機,余罪等について詳細な供述を得るよう努める一方 本件の最終処分にいかなる構成を採るべきかについては,次の3つの有罪判決を参考とした。
? わいせつ誘拐及び強制わいせつ罪について有罪とされた事例(平成13年10月17日宣告(同年11月1日確定).東京地方裁判所判決)。
被告人が,平成13年6月18日.被告人方玄関先において,徒歩で帰宅途中の被害女児(当時7歳)に対し,甘言を用いて誘惑し,被告人方室内に連れ込み,わいせつ目的で同女児を誘拐した上,同室内において,同女児が13歳未満であることを知りながら,その面前で自己の陰茎を露出して見せ付け,もって13歳未満の女児にわいせつな行為をした。
? 準強制わいせつ罪等について有罪とされた事例(平成13年10月17日宣告(同年11月1日確定).福岡地方裁判所判決)。
被告人が,平成12年日月23日,被害女性(当時30歳)の室内に無施錠のガラス戸から侵入し,同室内において同女が睡眠中のため抗拒不能であるのに乗じ,所携のビデオカメラで同女の姿態を撮影しながら自慰行為をして同女の身体に向けて射精し,同女の着衣に精液を掛けるなどし,もって同女にわいせつな行為をした。
? 強制わいせつ罪等について有罪とされた事例(平成14年2月28日宣告(同年3月15日確定)釧路路地方裁判所判決)。
被告人が.平成13年11月1日,被害女性(当時21歳)がコンビニエンスストアの便所内に入るのを見て,同女の用便中に同便所入口扉を開扉することにより,同女の姿態を自己の面前にさらさせ,その姿態を眺めて自己の性的欲求を満足させようと企て.同便所の入口扉の施錠を外して開扉し,同便所内で用便中であった同女の姿態を背後から眺め,同女をしてその姿態を自己の面前にさらすことを余儀なくさせ,もって同女に対し,強いてわいせつな行為をした。

(?の事案においては,個人の両前で陰茎を露出して見せ付けることが強制わいせつ罪の「わいせつI行為に該当することが認められており,?の準強制わいせつの事案においては,弁護人が「着衣に精液を掛けたとしても,性的自由を侵害するものではないから,わいせつな行為とはいえない」旨主張したのに対し「遅くとも相手方の着衣に精液を掛けるに至った段階においては.乳房等への接触や接吻と同様に,相手方の性的自由を侵害するものと考えられ,準強制わいせつ罪にいうわいせつな行為(既遂)に該当する」旨判示し,さらに,弁護人が「被害者は睡眠中で,被告人の行為を認識し得る状況になかったから, 「強制わいせつ罪にいうわいせつな行為にはならない」旨主張したのに対し同罪の立法趣旨からして,被告人の行為当時において,相手方が直ちに被告人の行為を認識し得る状況にあったか否かは, 同罪にいうわいせつな行為の成否を左右するものではないと解すべきである」 旨判示して,被害者の認識の有無にかかわらず,被告人が被害女性に精液を掛けることを認識しながら射精して精液を掛けた行為そのものが準強制わいせつ罪にいう「わいせつな行為」に該当することを認めた。
また,?の事案では相手方が用使中であろうという認識のもと,その姿態を眺めて自己の性的欲求を満足させる目的で,相手方が施錠した扉を開錠して開扉し,その用便中の姿態を眺め,相手方をしてそれを自己の眼前にさらすことを余儀なくさせる行為は,自己の性的欲求を満足させるため無理やり相手方の着衣を引き下ろしてその姿態を眺める行為と同等のものと評価できるから,強制わいせつ罪のわいせつ行為に該当し,かつ,同罪の暴行にも該当する」旨判示している。
(3) 前記各判決の論旨によれば,手淫を見せる行為や精液を掛ける行為が強制わいせつ罪の「わいせつ」な行為に該当すると解され,少なくとも精液を掛ける行為の「わいせつ」該当性は,被害者がその行為を見たか否かにかかわらず,認められると考えられた。本件におけるAの行為は,自己の性的欲求を満足させる目的で,抱き付く暴行を手段としてYを対象として手淫して自慰行為を行い, Yに精液を掛けるというものであるところ, Yは, Aから無理矢理に自慰行為の対象とされた上,精液を掛ける対象とされたのであるから, Aの行為を見せ付けられたか否かにかかわらず, Yは,自慰行為の対象とされない性的自由や射精の対象とされない性的自由を侵害されたと解し得ると考えられた。