個人的法益説
2 -1 概説
刑法典は、174条以下184条までを、「わいせつ、姦淫及び重婚の罪」として、各則22章に纏めて規定するが、既述の通り(本連載? ・本誌640号120頁参照〉、強制わいせつ罪(刑176条)・強姦罪(177条〉以下の罪は「性的自己決定の自由」という個人法益に対する罪と解すべきである。それらと本講で扱う風俗犯としての「わいせつ及び重婚の罪」とは区別されねばならない。また、児童ポルノ提供等罪(児童買春ポルノ処罰法7条)も、基本的な法益主体は被写体等とされる児童個人であって区別する必要があるし、唯唯グロテスクな行為・画像等の捕捉の為に用いられる特別法上の各罪も同様である。