児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

高松地裁H21.7.10

 判例秘書に出てました。
 判示第8は、少なくとも2/10は製造されてて1回の児童買春があるから、数回の児童買春を包括一罪にしてるようです。珍しいです。反面数回の製造は普通包括一罪なので、第5〜7も包括一罪にしないと一貫しないような気がします。

 こういう訴因を見たら、まず、被害児童と犯行日時ごとに並べてみて、「第5〜7は包括一罪というのが判例で、第8の児童買春罪は包括一罪で、2/10の製造と児童買春が観念的競合だから、結局第5〜8は科刑上一罪」などという主張を考えます。

高松地方裁判所判決
平成21年7月10日

第5 平成19年2月6日ころ,被害児童D(当時14歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,広島県三原市(以下略)所在の「ホテル○○」客室において,同児童の陰茎を露出させるなどの姿態をとらせ,これをデジタルカメラで撮影し,その画像データを同デジタルカメラにセットされたSDカードに記憶させ,もって衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により描写した児童ポルノを製造した
第6 同月8日ころ,上記第5のDが18歳に満たない児童であることを知りながら,広島県尾道市(以下略)所在の「◇◇旅館」客室において,同児童の陰茎を露出させるなどの姿態をとらせ,これをデジタルカメラで撮影し,その画像データを同デジタルカメラにセットされたSDカードに記憶させ,もって衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により描写した児童ポルノを製造した
第7 同月10日ころ,上記第5及び第6のDが18歳に満たない児童であることを知りながら,広島県福山市(以下略)の「△△旅館」において,同児童の陰茎を露出させて,同児童をして被告人の陰茎を手淫させるなどの姿態をとらせ,これをデジタルカメラで撮影し,その画像データを同デジタルカメラにセットされたSDカードに記憶させ,もって児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により描写した児童ポルノを製造した
第8 同月10日から同月14日までの間に,上記第5ないし第7のDが18歳に満たない児童であることを知りながら,広島県福山市(以下略)の「△△旅館」において,同児童に対し,現金の対償を供与する約束をして,同児童の陰茎を口淫する等の性交類似行為を行い,もって児童買春をした
第9 平成19年8月1日,被害児童E(当時17歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,徳島県板野郡(以下略)所在の「××ホテル」○○○号室において,同児童に対し,現金2万円の対償を供与する約束をして,同児童の陰茎を手淫し,同児童の肛門に性具を挿入するなどの性交類似行為を行い,もって児童買春をした
第10 上記第9の日時,場所において,上記第9のEに臀部を露出させるなどの姿態をとらせ,これをデジタルカメラで撮影し,その画像データを同デジタルカメラにセットされたSDカードに記憶させ,もって衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により描写した児童ポルノを製造した
第11 同月2日,被害児童F(当時16歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,高松市(以下略)所在のホテル「△△△」○○○号室において,同児童に陰部を露出させるなどの姿態をとらせ,これをデジタルカメラで撮影し,その画像データを同デジタルカメラにセットされたSDカードに記憶させ,もって衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により描写した児童ポルノを製造した
第12 同年9月13日ころ,広島県三原市(以下略)所在の被告人方において,インターネットを利用し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識できる方法により描写した画像データ1点を,フランス共和国所在の▲▲社が運営するブログサイト「blogSpirit」のサーバーコンピューターに送信し,同コンピューターの記憶装置に記憶,蔵置させ,同日ころから同年12月1日ころまでの間,不特定多数のインターネット利用者に対し,上記画像データに係る記録媒体である児童ポルノを閲覧可能にさせる状況を設定し,もって児童ポルノを公然と陳列した


(法令の適用)
罰条
 判示第1及び第4の各行為   いずれも刑法181条1項(179条,176条前段)
 判示第2の行為        刑法181条1項(176条前段)
 判示第3の行為        刑法236条1項
 判示第5,第6,第10及び第11の各行為
                いずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項,2条3項3号
 判示第7の行為        児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項,2条3項2号,3号
 判示第8及び第9の各行為   いずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
 判示第12の行為       児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項,2条3項3号
 判示第13の行為       包括して刑法223条3項,1項
刑種の選択
 判示第1,第2及び第4の各罪 いずれも有期懲役刑を選択
 判示第5ないし第12の各罪  いずれも懲役刑を選択
併合罪の処理          刑法45条前段,47条本文,10条
               (最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入       刑法21条



量刑理由
 3 また,いわゆる児童ポルノ法違反の各犯行態様をみると,被告人は,面倒をみてあげる,あるいはお金をあげるなどと言葉巧みに被害児童らを誘い,児童買春や児童ポルノ製造に及んだ上,児童ポルノを公然と陳列したのであって,巧妙かつ悪質である。さらに,強要未遂の犯行についてみると,被告人は,被害者のポルノ画像をインターネット上で公開し,削除して欲しければ自分と会うよう多数回にわたって脅迫し,面会を強要しようとしたというものであり,その執ようで悪質な犯行態様は,強く非難されるべきである。
 4 本件各犯行により,被害者及び被害児童らは,多大な精神的苦痛を被ったものと認められる。このうち,各強制わいせつ致傷の犯行の被害者らは,被告人から突然襲いかかられ,大きな恐怖感を味合わされ,さらに傷害も負わされたのである。そして,うち1名については実際に強制わいせつ行為をされたのであって,その屈辱感も大きい。さらに児童ポルノ法違反の被害児童らのうち1名は,本件のショックから当時通学していた高校を辞めてしまっている。