この事件、控訴されて控訴棄却になったような記憶があります。
判示第2の2の3項製造罪の犯罪事実を分析すると、
姿態の内容については、「性交等を行う姿態」としか記載されていないのに、1号だけでなく、2号・3号も認定しちゃってます。
「性交等を行う姿態」=他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(2条3項3号)であるとともに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(2条3項3号)だというのです。そうは限らないと思うので、理由不備だと思うんですが。
どうしても重い強制わいせつ致傷罪にばっかり目が行きがちですが、軽い特別法の方がミスが多いです。
【ID番号】 06750433
強制わいせつ致傷,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
【事件番号】 金沢地方裁判所判決/平成23年(わ)第187号、平成23年(わ)第255号、平成23年(わ)第269号、平成23年(わ)第317号
【判決日付】 平成24年9月5日
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
理 由
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1 別表記載のとおり,平成23年5月5日から同年8月16日までの間,前後5回にわたり,金沢市(以下略)ほか4か所において,被害児童A(当時14歳)ほか4名がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,
1 同児童らに対し,現金の対償を供与する約束をして,同児童らと性交し,もって,それぞれ児童買春をし,
2 同児童らに被告人と性交等を行う姿態をとらせ,これを所携のデジタルビデオカメラで撮影し,その動画データを電磁的記録媒体である同ビデオカメラのハードディスクに記録させて保存し,もって,それぞれ児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態並びに他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した当該児童らに係る各児童ポルノを製造し,
・・・
(法令の適用)
被告人の判示第1の1別表番号1ないし5の各所為はいずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号に,判示第1の2別表番号1ないし5の各所為はいずれも同法7条3項,1項,2条3項1号ないし3号に,判示第2の所為は刑法181条1項(179条,176条前段)にそれぞれ該当するところ,各所定刑中判示第1の1別表番号1ないし5及び第1の2別表番号1ないし5の各罪についてはいずれも懲役刑を,判示第2の罪については有期懲役刑をそれぞれ選択し,上記の前科があるので同法56条1項,57条により判示各罪の刑についてそれぞれ再犯の加重(判示第2の罪の刑については同法14条2項の制限に従う。)をし,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第2の罪の刑に同法14条2項の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役6年6月に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中120日をその刑に算入することとし,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。