児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「違法なものとは思わなかった」という弁解

 現行法でも児童ポルノの提供罪とかで「児童ポルノとは知らなかった」とか弁解をするわけですが、なかなか難しいのですよ。
知情性が問題になる場合には共通の問題。

 「知らなかったと弁解すれば逮捕されない」なんて認識甘いですよ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090804-00000008-sph-ent
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090803-00000893-yom-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090804-00000046-spn-ent


 結局、知情性というのは、状況証拠で決まります。

さいたま地裁H15
1 被告人は,判示第1の事実のうち児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)違反については,被写体が児童であることの認識がなかった旨供述し,弁護人も,被告人の供述を前提に,同法違反については構成要件的故意を欠き,無罪である旨主張するので,上記のとおり認定した理由を補足して説明する。
・・・・・
以上の事情を総合考慮すれば,被告人において,実年齢についての確定的故意はないものの,被写体が18歳未満であることにつき少なくとも未必的認識を有していたことは優に認められる。また,被告人は,本件ビデオをAに対し販売するときには,自己のホームページ上に前記認定のとおりの画像とコメントを掲載しているのであるから,Aへの販売時点ではより一層その未必的認識を強めていると認められる。
これに対し,被告人は,当公判廷において,本件ビデオの高校1年生というタイトルについては,この種ビデオでは年齢を詐称するものが多いので全く信用していなかったこと,自宅にあったビデオ等のいずれにおいても18歳未満の女性が撮影されているという認識は全くなかった旨述べるが,そうであるのならば,前記のように児童ポルノ法違反について殊更に警戒するようなメールを会員向けに送信したりする必要はなかったのであり,この点不自然というほかない。また,前記のとおり被告人宅から押収されたビデオには相当数18歳未満であること(中には8歳から10歳)を標榜するタイトルのものが含まれているが,これら全てについてその存在を全く認識していなかったとか,18歳未満であるとの認識ないし認容を全く欠いていたというのはいかにも不自然・不合理な供述であり,その他前記認定事実と照合しても被告人の公判供述は信用性に乏しいといわざるを得ない。

 とにかく、「所持」という構成要件の場合、知っていようといまいと所持していれば強制捜査(逮捕・家宅捜索)の対象となりうるということだけは覚えておいてください。