児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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強制わいせつ罪(176条後段)と児童ポルノ製造罪を観念的競合としたもの(尼崎支部R03.7.5)

 判示第1と第5
 更正決定でダメ押し。

■28293055
令和03年07月05日
神戸地方裁判所尼崎支部
 上記の者に対する強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、暴行、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件について、当裁判所は、検察官井出隆行、弁護人竹中らく各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第1 別紙記載のAが13歳未満であることを知りながら、
 1 令和2年3月6日午後1時46分頃、兵庫県(以下略)「●●●」内において、同人の下着等を脱がせて、その陰茎等を露出させている姿態をとらせ、これをスマートフォンの動画撮影機能を用いて撮影し、その動画データを同スマートフォン本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、
 2 同日午後3時46分頃、前記教室内において、前記Aの下着等を脱がせて、その陰茎等を露出させる姿態をとらせ、これをスマートフォンの動画撮影機能を用いて撮影し、その動画データを同スマートフォン本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、
  もってそれぞれ、13歳未満の者に対しわいせつな行為をするとともに、衣服の全部又は一部を着けない18歳に満たない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
第2 前記Aが18歳未満であることを知りながら、同月9日午後1時14分頃、前記教室内において、同人に対し、その陰茎及び臀部等を露出させる姿態をとらせ、これをスマートフォンの動画撮影機能を用いて撮影し、その動画データを同スマートフォン本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
第3 前記Aが18歳未満であることを知りながら、同月27日午後1時25分頃、前記教室内において、同人に対し、その陰茎等を露出させる姿態をとらせ、これをスマートフォンの動画撮影機能を用いて撮影し、その動画データを同スマートフォン本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
第4 前記Aが13歳未満であることを知りながら、同年4月23日午後3時2分頃、前記教室内において、同人に対し、その陰茎の上に置かれていた下着を取り去り、その右足を左手でつかんで同人を持ち上げて開脚させた上、その陰茎及び肛門等を露出させる姿態をとらせ、これをスマートフォンの動画撮影機能を用いて撮影し、その動画データを同スマートフォン本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって13歳未満の者に対し、強いてわいせつな行為をするとともに、衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
第5 同年8月28日午後5時34分頃、前記教室内において、前記Aに対し、その頭部を平手でたたき、さらに、その頭部を足の裏で踏む暴行を加えた。
第6 分離前の相被告人Eと共謀の上、別紙記載のBが13歳未満であることを知りながら、同年3月12日午後零時56分頃、前記教室内において、同人に対し、前記Eが、床に仰向けの状態で横たわった自己の上に前記Bを仰向けの状態で横たわらせて、同人の背後から両手で同人の両膝を抱きかかえ、同人の臀部を突き上げた上、被告人が、前記Bのズボン及び下着を捲り上げ、その臀部及び肛門を露出させて、殊更にその臀部及び肛門を強調する姿態をとらせ、もって13歳未満の者に対し、強いてわいせつな行為をした。
第7 前記日時場所において、前記Bの前記姿態をスマートフォンの写真撮影機能を用いて撮影し、その静止画像データを同スマートフォン本体の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない18歳未満の児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
第8 正当な理由がないのに、同月14日午前10時8分頃、前記教室内のトイレにおいて、その出入口からスマートフォンの動画撮影機能を用いて、同トイレ内で用便中であった別紙記載のCを撮影し、もって人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる人を写真機等を用いて撮影した。
第9 同年7月3日午後5時28分頃から同日午後5時35分頃までの間、前記教室内において、別紙記載のDに対し、その顔面を平手で複数回たたく暴行を加えた。
(法令の適用)
1 罰条
 (1) 判示第1の1、2の各所為のうち
  〈1〉 各下着を脱がせる等して撮影した点
  刑法176条後段
  〈2〉 各撮影したデータを記録、保存した点
  児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号
  (判示第1の1と同2の各所為は、同じ「●●●」で、同じ児童に対し、約2時間の間隔でほぼ同様な強制わいせつ及び児童ポルノ製造行為に及んだものであるが、関係各証拠によれば、被告人は、当該児童にわいせつ行為等を行おうとかねてから機会を探っていた中でそれら所為に及んだというよりは、当該児童の様子を見てその都度犯意を生じさせて各所為に及んだものと理解することができるので、判示第1の1の所為と同2の所為を包括するのは相当でなく、これらは併合罪関係にあるものと判断した。)
 (2) 判示第2、第3の各所為
  児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号
 (3) 判示第4の所為のうち
  〈1〉 下着を取り去る等して撮影した点
  刑法176条前段
  〈2〉 撮影したデータを記録、保存した点
  児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号
 (4) 判示第5の所為
  刑法208条
 (5) 判示第6の所為
  刑法60条、176条
 (6) 判示第7の所為
  児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号
 (7) 判示第8の所為
  公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和38年兵庫県条例第66号)15条1項、3条の2第3項
 (8) 判示第9の所為
  刑法208条
2 科刑上一罪
  判示第1の1、2、判示第4の各所為についていずれも刑法54条1項前段
  (いずれも重い強制わいせつ罪の刑で処断)
3 刑種選択
  判示第2、第3、第5、第7から第9の各罪につき各所定刑中いずれも懲役刑
4 併合罪
  刑法45条前段、47条本文、10条
  (刑及び犯情の最も重い判示第5の罪の刑に法定の加重)
5 未決勾留日数の算入
  刑法21条
6 訴訟費用
  刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)
(量刑の理由)
刑事部
 (裁判官 佐藤洋幸)
別紙
 A:●●●(当時9歳)
 B:●●●(当時11歳)
 C:●●●(当時7歳)
 D:●●●(当時6歳)
・・・
更正決定
 上記被告人に対する強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、暴行、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件につき、当裁判所が令和3年7月5日に言い渡した判決の判決書に明白な誤謬があったので、職権により次のとおり更正決定する。
主文
1 法令の適用の1(3)〈1〉に「刑法176条前段」とあるのを「刑法176条後段」と更正する。
2 法令の適用の2に「刑法54条1項前段」とあるのを「刑法54条1項前段、10条」と更正する。
令和3年7月14日
神戸地方裁判所尼崎支部刑事部
裁判官 佐藤洋