児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

高裁の裁判長から「冒頭の1/3は必要な議論なんですか?」と言われました。

 同一機会の犯行が、複数の裁判所で並行審理され、併合審理の利益が害されているという主張で控訴している事件
 傍聴人多数の前で、こんな珍妙なやりとりがあった。

裁判所「控訴趣意書の冒頭の1/3くらいは罪数論ですが、一罪だからって、こっちに併合しちゃうと、事件が増えるわけだから、重くなるけど、それでいいんですか?」
弁護人「不利益変更禁止があるから、重くはできませんよ。こっちにまとめて審理できれば、あっちは処罰する事件がなくなるから、結局A年+B年→A年ということでえらい軽くなってえーねんということですよ。」
裁判所「そりゃ重くするつもりはありませんよ。あっちの事件も考慮すれば通算で軽くなるということなんですね。でも当裁判所はあっちの事件はわからないから考慮できないですよ。」
弁護人「一般に併合審理の利益っていうでしょ。」
裁判所「でも、本件の場合、足して重すぎるということもないですよね。」
弁護人「ほら、あっちの事件をみてるじゃないですか。しかも量刑不当の判断を趣意書を陳述する前に言わないでくださいよ。」
裁判所「そうでしたね。それじゃ、控訴趣意書の通り陳述ということで。検察官は『控訴の趣意はいずれも理由がない』でいいですね。」
検察官「いかにも」