同一機会の犯行が、複数の裁判所で並行審理され、併合審理の利益が害されているという主張で控訴している事件
傍聴人多数の前で、こんな珍妙なやりとりがあった。
裁判所「控訴趣意書の冒頭の1/3くらいは罪数論ですが、一罪だからって、こっちに併合しちゃうと、事件が増えるわけだから、重くなるけど、それでいいんですか?」
弁護人「不利益変更禁止があるから、重くはできませんよ。こっちにまとめて審理できれば、あっちは処罰する事件がなくなるから、結局A年+B年→A年ということでえらい軽くなってえーねんということですよ。」
裁判所「そりゃ重くするつもりはありませんよ。あっちの事件も考慮すれば通算で軽くなるということなんですね。でも当裁判所はあっちの事件はわからないから考慮できないですよ。」
弁護人「一般に併合審理の利益っていうでしょ。」
裁判所「でも、本件の場合、足して重すぎるということもないですよね。」
弁護人「ほら、あっちの事件をみてるじゃないですか。しかも量刑不当の判断を趣意書を陳述する前に言わないでくださいよ。」
裁判所「そうでしたね。それじゃ、控訴趣意書の通り陳述ということで。検察官は『控訴の趣意はいずれも理由がない』でいいですね。」
検察官「いかにも」