吸収関係とか包括一罪とかにはならないのかというのを次の事件で問いたいのですが、実務ではこんなことになっています。旧少年法37条2項で製造罪も家裁でやってた。
東京地検は少なくとも5件は観念的競合で処理して、その後、H20に1件だけ間違えて併合罪で起訴して、(少年法37条が廃止されて、罪数関係が管轄に関係なくなってどうでもよくなったら)H21には再び観念的競合説に戻っています。検察庁ってお役所だから決済する偉いさんがいると思うんですが、統一してないようです。立会検事さんが「併合罪ですっ」って力んでも、全然説得力がない。
※ 児童淫行罪と児童ポルノ製造罪の罪数に関する裁判例
(1)児童淫行罪のみとするもの(吸収関係)
?大津家裁H19.6.1
?高松家裁H16.3.17
(2)児童淫行罪−目的製造罪は観念的競合
?千葉家裁H12.12.22(販売目的製造罪)
?横浜家裁H16.1.8(販売目的製造罪)
?奈良家裁H16.02.05(販売目的製造罪)
?東京家裁H16.10.25(販売目的製造罪)
?東京家裁H18.3.8(提供目的製造罪)
?東京家裁H18.3.27(提供目的製造罪)
?東京地裁h21.3.36(提供目的製造罪)(控訴中)
(3)3項製造罪と児童淫行罪を観念的競合とするもの
?横浜家裁横須賀支部H17.6.1(3項製造罪)
?東京高裁H17.12.26(3項製造罪)(上告棄却)
?長野家裁H18.4.20(3項製造罪)
?札幌家裁小樽支部H18.10.2(3項製造罪)(控訴棄却)
?名古屋家裁岡崎支部H18.12.5(3項製造罪)
?札幌高裁H19.3.8(3項製造罪) (上告中)
?名古屋家裁H19.4.17(3項製造罪)
淫行教師が撮影したとか、児童のAV撮影の事件ですから、報道されているし、ほとんど実刑です。力が入っていた事件で、観念的競合説。
こういう状況で、併合罪説の事件は控訴されて、東京高裁H17.12.26(観念的競合)の部に係属しています。判決日を並べると、東京高裁H17.12.26の後は観念的競合の判決が続々ですよね。
3項製造罪は「姿態をとらせて」の部分が「淫行」に他ならないので、重なりが大きいのですが、目的製造罪は「撮影行為」だけですが、性交又は性交類似行為と重なるというのです。これが判例です。