刑法ですから、街頭で見ただけで傷ついたというのは個人の権利侵害とは言えません。昨日の仙台高裁H21.3.3なんて、性器を見せつけられる行為による性的自由の侵害は、副次的結果であるとしています。
要するにそういう風潮・雰囲気を警戒するという見解ですね。
想像的ポルノでさえ、「性犯罪の誘発」とは別の意味で、子どもを脅かすのではないか。この点について
杉田俊介が最も深い問題提起を行なっている。東浩紀のリベラルな児童ポルノ論を批判して、杉田は「子どもポルノが存在し続けるという『事実』によって、間接的な被害を受ける人々(例えば過去に同種の性暴力を受けたサバイバーなど)は、たとえば街中でポルノ的な広告・写真・雑誌の表紙を日にするだけで痛みを受けるように−への眼差しがないのではないか」と言う。
http://d.hatena.ne.jp/sugitasyunsuke/20080218
この「眼差し」が直ちに子どもポルノ単純所持の禁止を正当化する論拠になるわけではないだろう。だが、それを無視して子どもポルノに言及しても、それは到底真撃な議論とは言えないことは確かである。