児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつに接着して強姦が行われた場合は強姦罪一罪(東京地裁H1.10.31)だとして、その際に撮影していたら、3項製造罪も包括されるのか?

 最近の裁判例のように、強制わいせつ罪と3項製造罪(姿態とらせて製造)を観念的競合とすると、この場合も包括されそうですね。
 となると、数件分の児童ポルノをまとめてダビングしていれば、数件の強姦罪+強制わいせつ罪+3項製造罪も一罪になりますね。

東京地方裁判所判決平成元年10月31日
判例タイムズ729号228頁
判例時報1363号158頁
判例タイムズ738号69頁
判例評論388号201頁

第二 女子生徒ら少女から金品を強取し、かつ、強いてわいせつの行為をしようと企て、同年三月一〇日午後五時三〇分ころ、女子高校生の制服を着用していたB女(当時一七歳)が同都板橋区〈住所略〉乙方玄関前にいるのを見かけると、右乙方を訪れ、B女に対し、「読売新聞です。集金に来ました。」などと嘘を言い、更に「家の人はいませんか。」などと言った後、右乙方において、いきなり両手でB女の首を締めながら、「大人しくしていれば何もしない。金を取ったら逃げるから。」などと申し向けていたところ、同女のほかに遊びに来ていたC女(当時一六歳)がいるのを見つけ、B女及びC女の両名に対し、同所にあった鋏や同所の台所から持ち出してきた刃体の長さ約一七・二センチメートルの文化包丁(前同号の1)を突きつけ、「騒いだら目をくりぬくぞ。」「声を出すなよ。出したら殺すぞ。」などと脅迫し、右両名をそれぞれ後ろ手に緊縛し、猿ぐつわをするなどして右両名の反抗を抑圧した上、C女を仰向けに寝かせ、同女に対し、そのパンティー等を脱がせ、所携の浣腸器で浣腸を施用し、その陰部に手指を挿入するなど強いてわいせつ行為をしているうち、同女を強姦しようと決意するに至り、同女の上に乗りかかって強いて同女を姦淫したが、前記の陰部への手指の挿入行為により同女に処女膜裂傷の傷害を負わせ、引き続き、B女に対しては、右文化包丁を突きつけて同女から金員の所在を聞き出した上乙所有にかかる現金一万円を強取した

(法令の適用)
 被告人の判示第一の一、第四の二の各所為はいずれも刑法二三六条一項に、判示第一の二、第四の一の各所為はいずれも同法一七六条前段に、判示第二の所為は同法二四一条前段に(なお、強盗の目的で、判示のとおり、被害者二名に暴行、脅迫を加えても、本件のように、その奪取しようとする財物が一個の管理下にあると認められる場合には一個の強盗罪が成立するにすぎないから、右被害者二名のうちの一名(C女)を強姦したときは、強盗強姦の一罪が成立するにとどまると解すべきである。更に、本件のように、強制わいせつとこれに接着して強姦が行われた場合はこれを包括して一個の強姦行為と評価すべきであること、強盗強姦罪が成立する場合において、犯人がその強盗の機会(あるいは強姦の際)に加えた暴行により生じた傷害はもとより強盗強姦以外の別罪を構成するものではないが、強盗強姦罪の重要な量刑評価の対象となるものであり右傷害の点を判示すべきことも多言を要しないところである。)、