児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童淫行罪+強姦の事案(甲府地裁h20.11.6)

 児童淫行罪を立てると、かすがい現象で科刑上一罪。
 暴行脅迫がある場合は、児童淫行罪は成立しないという裁判例もあります。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20070710#1184031206

http://www.sannichi.co.jp/local/news/2008/11/06/19.html
これまでの裁判記録や判決によると、男は義理の娘の女児が12歳から15歳まで、13回の性的暴行に及んだとして起訴された。検察側によると、家族が寝静まったころを見計らい、女児が9歳のころからわいせつ行為に及んだ。
 男は多い時で2日に1回乱暴し、裸体を撮影するなどの行為にも及んでいた。発覚による家庭の崩壊を恐れた女児は「私が我慢すればいいんだ」とひたすら耐え続けたという。
 男は以前、女児の姉にも性的虐待を加えていて、姉が被害を訴えたために夫婦は離婚。しかし、男はその後も元妻宅に出入りし、被害女児への行為に及んだ。

とすると
  12歳時点の姦淫→児童淫行罪+強姦罪・科刑上一罪(かすがい現象)
  13歳〜15歳の姦淫→強姦罪のみ・併合罪
というのが正解になります。
 この辺の擬律は難しいので、控訴して確認する必要があります。

広島地裁H16
 被害児童は被告人の命令によって、性行為に応じる姿勢を取ったことが認められる。
 しかし、これは脅迫による反抗抑圧の結果であって、児童が性交に応じたからといって、児童が淫行したと評価することはできない。淫行させるとは児童の淫行を利用ないし助長する行為を指し、児童に淫行することを強要したり、自ら淫行の相手方となる場合を除外するものではないが、・・・児童淫行罪の淫行させるというには、少なくとも、児童に淫行と評価される行為をさせることが必要であって、児童の反抗を抑圧し・著しく困難にした状態で、姦淫した場合には、児童において、淫行と評価させる行為をしたとは言い難い
強姦とは観念的競合なので、無罪の言い渡しをしない

続報によれば 甲府地裁事件は

12才 1回姦淫 児童淫行罪+強姦(暴行脅迫無し)
13才〜15才 12回姦淫 児童淫行罪のみ(暴行脅迫無し)

だそうで、児童淫行罪が包括一罪になるので、かすがいになって、全体が科刑上一罪となって、強姦罪で処断されるということでした。
 行為回数でみれば、ほとんど家裁管轄です。
 これを新聞用語では「乱暴」と表現するそうです。