児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

掲示板の児童ポルノはプロバイダ責任制限法で削除できる?

 児童ポルノには適用されないはずですが。
 「児童ポルノを見つけたら削除する義務」を狙ってるようですね。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007316920080425007.htm
第7号 平成20年4月25日(金曜日)
○笹木委員 ぜひ、サイト開設者の業界全体でもそういうふうなものを検討いただけるといいなというふうに思います。

 それともう一つ、有害と違法情報と両方あるわけですが、違法情報についてお聞きしたいんですね。

 先ほど孫参考人は、禁止行為の明確化、ある意味で違法情報は明確です。もう一つ、やはり問題のある書き込みは削除をする、サイト全体じゃなくて書き込みを削除するということを言われていました。あるいは処罰をする。そのことが健全なサイト全体を消すことにならない、つながるんだというお話もありました。

 違法情報について、例えば、青少年委員会ですから、青少年が被害者になるような児童ポルノあるいは薬物取引、麻薬取引の広告、これは違法です。今携帯が社会のインフラになっているとしたら、例えば公共的なインフラである電車の中に薬物取引広告がそのまま張ってあるということはありませんし、児童ポルノの映像とか写真が張ったまま放置されているということはありません。しかし、現状において、犯人が捕まった、その犯人が提供した児童ポルノの映像、写真、あるいは薬物取引の広告がそのまま削除されないで残っている。これを変えるために、結局は、今はプロバイダー有限責任法で削除することができるというふうになっているわけですが、やはりこれを削除しなければならない。違法情報についてだけでもいいと思いますね。これが必要じゃないかと思います。

 それで、最後に孫参考人にお聞きしたいんですが、なぜ、現状において、利用契約において、例えば文章の投稿者との間でサイト開設者は違法情報や公序良俗に反する投稿がなされた場合はこれを削除するという利用契約を結んでいるにもかかわらず、あるいはプロバイダー有限責任法があるにもかかわらず、違法情報まで削除がされていないのか、それが徹底されていないのか。これはやはり義務化する、削除しなければならないとすることでしっかりと対応がとれるという面があるんじゃないかと思うわけですが、お答えいただけますか。

○孫参考人 削除することができるというのは大変重要なことで、事業者が徹底的にそのような努力をするということが可能になるわけで、表現の自由とか難しい問題がある中で、少なくともその事業者の判断で削除することができるというのは大変有益な前進だというふうに思うわけですが、削除せねばならないとなった途端に、常にどこかで違反状態が起きているということになってしまう。

 先ほど言いましたように、コミュニティーサイトだけで二百万ですけれども、世界じゅうにさまざまなインターネットのサイトがあるわけで、そこへの入り口はさまざまなところにあるわけで、外国にサーバーを持っていくような悪徳業者もいるという状況の中で、これを義務化したときに、健全に事業を行っているつもりの事業者が、常にどこかで一部の違反状態が起きている、それで事業者が罰せられるという恐怖状態にあるということであれば、事業そのものが行えない。つまり、東京都で、違反者に対して取り締まることはできるわけですけれども、違反者が一人でも出たら東京都知事はその責任を問われるということになると、東京都知事は一日も務まらないということであろうと思うんですね。

 ですから、やはりそのような取り締まることができるということは大変重要な手段ですけれども、一日も違反状態があってはならないということになると、努力義務というのはわかるんですが、その義務が行き過ぎるとだれもそれが務まらないということになってしまうという問題点があろうかと思いますので、義務化ということについては慎重な検討が必要であろう、こういうことでございます。

○笹木委員 わかりました。

 もう終わりますが、今のお話については、恐らくサイト開設者が知った場合にはということにすればクリアができるんじゃないかなというふうにも思いますが、それと、ぜひ有害情報については、成人であるという認証をもう少し厳格にやるような方法を考えていただければ、かなり問題は前に進むんじゃないかなと思います。

 いずれにしても、この携帯がインターネットにつながる技術、これは世界の最先端を走っているわけですから、安全面についても最先端を走れるように、我々もそうですが、事業者の方々にもぜひその努力をお願いしたいと思います。

 終わります。

○孫参考人 ちょっと最後に、済みません。

 時間で退出しますので、最後の今のコメントで、事業者が違法であるというふうな状況を知った場合には削除する努力義務が必要だということですが、先ほど米国の通信品位法の中でもありましたように、どの線を越えたらこれが違反状態であるかどうか、この判断が、あいまいな、主観性に基づく判断である場合があり得るということですね。

 したがいまして、これは問題であろうというふうに思った場合には、その事業者の主観でそれを削除することができるというふうになれるだけでも事業者としては大変な前進なわけですけれども、ほかの第三者が見て、これは違反している内容のものであるということを別の主観で指摘されて、その主観から見て違反しているぞというふうに指摘された場合に、これはその線引きの問題が難しい場合があるということもあわせてコメントさせていただきたい。少なくとも、健全な努力をするという精神の中でも一部その線引きが難しい場合があり得るということだけはぜひ記憶にとどめておいていただきたいというふうに思うわけでございます。

 ありがとうございました。