児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

高須一弘「児童ポルノ排除総合対策」の決定 警察学論集63巻10号

プロッキングについて
そこで、ブロッキングという手立てに注目が寄せられたところ、問題が児童ポルノとはいえ本当にプロッキングが許容されるのかという疑問が同時に浮上し、特にプロッキングの実施主体とされるISP(インターネット・サービス・プロパイダ)にとって大きな関心事となったのである(インターネット上に児童ポルノが流通したからといってISPがプロッキングすることには当然にはならず、それどころか、プロッキングによって電気通信事業法(昭和59年12月25日法律86号)違反が関われたり、児童ポルノの発信者等への損害賠償責任が生じたりするおそれさえ指摘されたところである。)。
これに対し、インターネット上の児童ポルノの実態も様々なケースが想定される一方、実施されるプロッキングの具体的中身が同まっていない現段階において、詳細に至るまですべて見解の一致をみているわけではないものの、イメージ図のようなプロッキングは現行法で可能である(法改正の必要はない。)との結論に達したものである
~ 結論に達した理由として、次のようなことが挙げられよう。
O 児童ポルノが被害児童の権利を侵害しており、プロッキングによらなければ当該児童を保護できない状況が現実に存在している。
O 刑事責任に閑し、電気通信事業法の規定は、児童ポルノのプロッキングを違法と評価するものではないと解することが可能である47)制。
O 民事責任に関し、児童ポルノの発信者等への法的利益の侵害があるものではないと解することが可能である。(49)(50)

49) プロパイダ責任制限法3条2項で、「」賠償の責めに任じない。と規定されており、正に児童ポルノは「流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由jのある情報となることから、その被害から被害児童を保護するための対抗措置たるプロッキングは、基本的に「当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたもの」に該当すると認められる一方、主該児童ポルノの発信者等には、受忍義務が求められこそすれ、法的利益は認められないと考える。

50)参考として、公職選挙法上の政見放送に関し、差別的発言を削除の上放送したことの民事責任が争われ、最高裁(3小)平成2年4月17日判決(民集44巻3号547頁)は・・・と判示している