児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ致傷の量刑(岐阜地裁H19.12.21)

 強制わいせつは程度問題があるので、罪名と量刑が結びつきません。
 強制わいせつ致傷はさらにわいせつ行為の既遂・未遂(わいせつ行為が未遂でも致傷罪は既遂なので)と傷害程度問題があるので、なおさら罪名と量刑が結びつきません。
 こういう事例を集積して類似の事案の量刑から推測していくしかありません。
 とりあえず、示談は必須ということで。

強制わいせつ傷害 元中部経済新聞社員に猶予判決 地裁=岐阜 読売新聞
 多治見市の路上で今年7月、女子中学生にわいせつな行為をしようとしてけがをさせたとして、強制わいせつ傷害などの罪に問われた被告(36)の判決が21日、岐阜地裁であった。田辺三保子裁判長は「非常に悪質だが、被害者と示談が成立している」として懲役2年6月、執行猶予3年(求刑・懲役3年)を言い渡した。

多治見の強制わいせつ未遂:中経元社員に有罪判決−−地裁 /岐阜 毎日新聞
 女子中学生にわいせつな行為をしようとして暴行を加えたとして強制わいせつ傷害などの罪に問われた被告(36)の判決公判が21日、岐阜地裁であった。田辺三保子裁判長は「通り魔的な犯行で卑劣極まりなく非常に悪質」として懲役2年6月、執行猶予3年(求刑・懲役3年)を言い渡した。
 判決によると、被告は7月11日午後3時15分ごろ、多治見市内の路上で通行中の女子中学生に対し、わいせつな行為をしようとして、左腕をつかんで引っ張り、口に左手を押し当てるなどして路上脇の雑木林に引きずり込もうとした。その際、女子中学生は首に約2週間の挫傷を負った。

 量刑理由としては
   動機に斟酌すべき点がないこと
   計画性
   被害児童の精神的苦痛・後遺症
   地域社会の不安
   さいわいわいせつ行為は未遂であったこと
   示談が成立していること
反省
   社会的制裁を受けていること
   監督者
が触れられているはずです。

第176条(強制わいせつ)
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
第181条(強制わいせつ等致死傷)
第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。
3 第百七十八条の二の罪又はその未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。