児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

盗撮と3項製造罪(姿態とらせて製造)

 着替えを盗撮すると、できたものは「児童ポルノ」に他ならないが、3項製造罪は「姿態とらせて」の要件があるので、盗撮を含まない。2項5項の提供等の目的があると、盗撮でも製造罪になる。
 とすると、↓の事例では、提供等の目的があっただろうという厳しい追及があって、提供等の目的が無かったというところで被疑者に頑張ってもらうことになる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070713-00000047-mailo-hok
容疑者は8日午後4時ごろ、石狩市親船町の石狩浜海水浴場の駐車場に止めた乗用車から、車の陰で着替えていた小学5年の女児(10)の裸をビデオ撮影した疑い。「小さい子供に興味があった」と容疑を認めているという。
 11日午前11時半ごろ、札幌市内の中学校から「不審な車がいる」と通報があり、駆けつけた同署員の職務質問で盗撮が発覚。持っていたビデオカメラから女児の盗撮映像が見つかり、自宅からも同種のビデオテープ約50本が押収された。

第7条(児童ポルノ提供等)
児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

 「姿態とらせて」については、それが実行行為か身分犯かという解釈問題があって、その内容も流動的です。ハメ撮りしていれば、姿態を取らせていることになるという裁判例があって、あってもないような存在です。

札幌高裁H19.3.8
論旨は,要するに,被告人は,児童との口淫等の性交類似行為ないし性交(以下,「性交等」という)の姿態を撮影しているが,児童に姿態をとらせておらず,児童ポルノ製造罪は無罪であるのに,姿態をとらせたと認めて有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認ないし法令適用の誤一りがある,というのである。
そこで,検討するに,児童ポルノ法7条3項の「姿態をとらせ」とは,行為者の言動等により,当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいい,強制を要しないと解されるところ,関係証拠によれば,被告人は,児童と性交等を行っているが,これらの行為は通常当事者双方の言動により行為に至るものであって,本件においても,被告人は,自ら積極的に児童に性交等の行為を行い,あるいは,児童の性交等の行為に応じる言動をしているのであって,この被告人の言動等により児童は性交等の姿態をとるに至ったと認められる。被告人が児童に「姿態をとらせ」たことは明らかである。
なお,所論は,姿態をとらせる行為は,児童ポルノ製造に向けられた行為であるから,その時点において児童ポルノ製造の目的を要するが,被告人には,その時点において児童ポルノ製造の目的がない,という。しかし,被告人は,児童に性交等の姿態をとらせ,それを録画しているのであるから,正に,児童ポルノ製造行為に向けて姿態をとらせたというべきである。所論は採用できない。

スカートの中の盗撮は、通常、「児童ポルノ」にはなりませんが、パンツをはいていないとか、食い込ませているという場合には、「児童ポルノ」になることがあります。これも判例(高裁金沢支部)があります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070715-00000051-san-l11
盗撮の被害者は女子高生が全体の約半数。被害時間帯は午後4〜5時台が最も多く、書店やコンビニエンスストアでの立ち読み中などに、カメラ付き携帯電話でスカート内を盗撮されるケースが大半を占めた。
 もう一つの“道具”となっているのが、インターネットの通信販売などで手に入る小型カメラだ。カメラ本体はカード型など多種多様で、レンズは直径1ミリから選べる。暗い場所での撮影機能が強化されており、小さな穴を作れば目立たずどこにでも装着できる。