児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童の裸体画像を送らせる行為の擬律

 強要まですれば、児童が道具といえないこともないですが、報道される事案には、そこまで行ってないのもありますね。

http://www.fukushima-minpo.co.jp/news/kennai/20070311/kennai-200703110953010.html
福島県会津地域の10代の女性が携帯電話で撮影した体の写真をインターネットで無理に送らせたとして、南会津署は県警本部少年課と連携して近く、強要などの疑いで長崎県内の30代の男から任意で事情を聴く。容疑が固まり次第、強制捜査する方針。

追記
 ある支部の判決で、高校生の裸を送らせたのを、「受信者のPCのHDDの製造罪」にまとめていたのがありましたが、端折りすぎだと思いますね。中間でも媒体に留まると児童ポルノが新たに生じることになって、各媒体から流出の危険が発生しますから、各時点で製造罪を立てるべきだと思いますね。包括一罪だからって、手を抜いたらだめですね。


追記
 強要罪はいいとして。

http://www.fukushima-minpo.co.jp/news/kennai/20070313/kennai-200703131013160.html
容疑者は1月31日から2月1日にかけて、携帯電話の出会い系サイトで知り合った少女=当時(17)=に脅迫メールを送信し、少女の裸の画像を送らせた疑い。

 判例の理由付けでは、間接正犯否定。意思を抑圧するに足る程度に至っていなければ17歳の児童に是非弁別能力があれば児童が提供罪・製造罪の正犯となる。

最高裁判所平成13年10月25日
A子が生活費欲しさから強盗を計画し、一二歳一〇か月の長男Bに指示命令して強盗を実行させた場合においても、当時Bには是非弁別の能力があり、A子の指示命令はBの意思を抑圧するに足る程度のものではなく、Bは自らの意思によりその実行を決意した上、臨機応変に対処して強盗を完遂し、Bが奪ってきた金品をすべてA子が領得したなど判示の事実関係の下では、A子につき強盗の間接正犯又は教唆犯ではなく共同正犯が成立する。

 児童は正犯となり得ないという解釈は見たことがありません。
これは立法者も予定してなかったよな。