児童淫行罪って複数回を包括評価するので、起訴されているのがどの範囲の行為かをはっきりさせることが必要です。
こういう場合がある。被害者はいずれも共通。
とっかかりとしては、直近の性行為を条例違反で逮捕して、遡って捜査して、まとめて児童淫行罪で起訴したのだが、直近のが抜けている。
逮捕の被疑事実(検番:X号)
H19.12.1 淫行(青少年条例)再逮捕の被疑事実(検番:Y号)
H19.6.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.7.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.8.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.9.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.10.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.11.1 淫行(児童福祉法違反)起訴状の公訴事実(検番:X号+Y号)
H19.6.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.7.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.8.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.9.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.10.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.11.1 淫行(児童福祉法違反)判決の罪となるべき事実
H19.6.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.7.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.8.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.9.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.10.1 淫行(児童福祉法違反)
H19.11.1 淫行(児童福祉法違反)
10/1、11/1の淫行が児童淫行罪なら、12/1の淫行も児童淫行罪でいい。起訴できそうなものだ。
証拠上は「H19.12.1 淫行」は明か。当初はそれで捜査しているから。
起訴状に「検番:X号」とあるから、「H19.12.1 淫行」も起訴されているといえそうです。
しかし、公訴事実には12/1の淫行は記載されていない。不起訴の告知もない。
控訴審で 「検番:X号」を消去する訴因変更があると思いきや、それもない。
処理としては、
① 2/1の淫行は起訴されていない 「検番:X号」が誤記。
② 2/1の淫行は起訴しているけれど、内容不特定ということになって、訴因不特定
しかない。
あと、「それを気づいたのなら、原審で指摘すべきであって、控訴審で主張するのは、ずるい。」と言われそうだ。
弁護人は、保釈や起訴後の勾留の関係で12/1がないことに気づいて指摘した。「数回の児童淫行は包括一罪だがら12/1の淫行が児童淫行罪なら、再逮捕は同一公訴事実について2回目だから違法になる。」って。訴因不特定までは思いつかなかった。
こんなのは、地裁刑事なら気づきそうなものですよ。家裁でやるから見落とすんですよ。