児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童養護施設における常習的な児童淫行罪

 同一児童に対する児童淫行罪は包括一罪になるので、実務では「10/17の児童淫行罪」の訴因で、前後の同一児童に対する児童淫行罪全部も審判対象になることになっています。そうすると、訴因に挙げられていない淫行によって期間・回数で量刑されることになるので、そこが争点になることになります。訴因外事実で量刑が決まるって、訴因ってなんなのかと思いますね。
 そういうことに注意して余罪を供述して欲しいところです。

 手持ちの裁判例で、被害児童1名の科刑状況をみると、執行猶予判決から、懲役4年まで量刑が分布します。
 淫行の期間・回数は訴因ではなく、量刑理由で触れられています。

児童淫行罪1罪・師弟関係
懲役2年 06月 実刑
懲役2年 執行猶予4年
懲役2年 実刑
懲役1年 06月 実刑
懲役1年 06月 執行猶予4年
懲役2年 06月 実刑
懲役1年 04月 実刑
懲役2年 実刑
懲役1年 08月 実刑
懲役2年 執行猶予4年
懲役2年 執行猶予4年
懲役1年 06月 執行猶予4年
懲役4年 実刑

父親のような立場利用、養護施設でわいせつ行為
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130214-OYT1T00026.htm?from=ylist
 勤務していた児童養護施設の女子生徒(当時16歳)に自宅でわいせつな行為をしたとして、児童福祉法違反(淫行させる行為)容疑で逮捕された被告(児童福祉法違反で起訴)が、県警の調べに対し、「同じ女子生徒に施設の中でも複数回、わいせつな行為をした」などと供述していることが13日、捜査関係者への
 取材でわかった。
 県警は施設職員の立場を悪用して何度も女子生徒に関係を迫ったとみて調べている。
 捜査関係者によると、被告は施設に勤務していた昨秋、複数回にわたって女子棟内の女子生徒の部屋でわいせつな行為をしたと供述している。被告は女子棟寮長で、少女たちの父親のような立場だった。
 起訴状によると、被告は昨年10月17日、女子生徒が18歳未満と知りながら、自身の自宅でみだらな行為をしたとされる。


 養護施設の例は少なく特定されてしまうので、師弟関係の児童淫行罪で実例を挙げると、児童淫行罪1罪の訴因というのはこういう感じになりますが、師弟関係を利用して、生徒と1回淫行したということは同じです。実刑事案には量刑理由で継続的な性的関係があるとされています。余罪が実刑・執行猶予を分けることになっていて、余罪は訴因に記載されていないのが問題です。こういう実務を知らない弁護人があっさり一回で結審してしまい実刑判決を受けるということがよくあります。

執行猶予事案
地裁H22
被告人はA中学教諭として勤務し 
クラブ活動の顧問を兼ねていた。
被害児童は、A中学の生徒であり、クラブ部員の14歳
18歳未満の児童であることを知りながら 教諭と顧問の立場を利用して、H25.2.18 ホテルにおいて、被告人と性交させ、 もって、児童を被告人と淫行させた(児童淫行罪)

実刑事案
家裁H19
懲役1年4月(実刑
市立中学校教諭
同校に在籍する児童14歳が、 18歳未満の児童であることを知りながら、師弟関係という関係にあって申し出を拒絶しがたい関係にあることに乗じて自己と性交しようと企て
H25.2.18 ホテル において被告人と性交させ、もって、児童を被告人と淫行させた(児童淫行罪)