自分だけは捕まらないと軽信して反復される傾向があるのか、常習犯からの相談が多いので、こういう説明が多いです。
常套手段としてこういう作戦もあるということで大雑把というか乱暴な説明をします。
次のような常習犯が、ます、A事件で捜査を受けたときの対応を考えています。余罪については訴追可能な証拠はあるとする。
Aへの提供罪(児童買春罪)
Bへの提供罪(児童買春罪)
Cへの提供罪(児童買春罪)
Dへの提供罪(児童買春罪)
Eへの提供罪(児童買春罪)
の場合、予想される量刑は、
Aへの提供罪(児童買春罪)1
Bへの提供罪(児童買春罪)1
Cへの提供罪(児童買春罪)1
Dへの提供罪(児童買春罪)1
Eへの提供罪(児童買春罪)1
合計5
「1」とか「5」とか「1/2」とかは、量刑は罪数が多い程重い・自首すれば軽くなるということを単純化しています。
ここで児童ポルノ罪でも児童買春罪でも1回1罪で併合罪になることを知っていれば、Aが発覚しても、BCDEの発覚前に自己申告すればBCDEについては自首となる。
刑法
第42条(自首等)
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
「法律上の自首」と認定されるのはなかなか困難で、自首は任意的減軽ですし、全体の量刑にどの程度の影響があるのかはわかりませんが、少しは軽くなるので、乱暴な計算ですが、イメージ的に仮に1/2になると表現するとすれば、
Aへの提供罪(児童買春罪)1
Bへの提供罪(児童買春罪)1/2
Cへの提供罪(児童買春罪)1/2
Dへの提供罪(児童買春罪)1/2
Eへの提供罪(児童買春罪)1/2
合計3
という計算になります。
Aについてはどうしようもないのかというと、余罪を自首したことはAの量刑も含めて全体の量刑に影響します。
これは、起訴段階の略式(罰金)・正式(懲役)の選択にも影響するし、罰金額や懲役刑期にも影響するし、捜査段階の在宅・身柄の選択にも影響します。
児童ポルノ・児童買春の自首というのは、否認されがちなポイント(奥村弁護士がこれまで否認してきた点)を逆に先行自白していくことなので、(このブログをよく読んで)児童ポルノ・児童買春事件の証拠構造を分析した上で、準備する必要があり、素人には無理。
なお、すべての事件でこういう手段が有効とは限りません。あくまで一つの選択肢です。
奥村事件では、否認したり、自首したりで、メリハリを付けて処理しています。