児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

誤って児童淫行罪と観念的競合だとして児童ポルノ製造罪を家裁に起訴されたときの控訴審の措置

 とりわけ実刑の場合、これは控訴しないと未決算入とかで損なんですよ。遠慮する必要ない。裁判所が間違ってるんだから。

 児童淫行罪と製造罪は併合罪と決めうちしていきましょう。
 だれですか? 製造罪で再起訴するというのは?

 製造罪が管轄違となる場合、裁判所は、管轄第一審裁判所(地裁)に差し戻すことになるのであって、管轄違の判決となるのではない。

第399条〔破棄移送・自判〕
不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄第一審裁判所に移送しなければならない。但し、控訴裁判所は、その事件について第一審の管轄権を有するときは、第一審として審判をしなければならない。

一部が管轄違となるときは、その一部を差し戻すことになる。

    「(3)破棄移送の判決」(『刑事訴訟実務書式要覧 3』新日本法規
    伊藤栄樹他「第399条 破棄移送」(『注釈 刑事訴訟法 (新版) 第6巻』)
 

 結局、控訴審裁判所は、児童淫行罪について自判ないし家裁に差し戻し、製造罪については地裁に差し戻すことになる。

 さらに、被告人のみ控訴事件であれば、差し戻し審においても、刑訴法402条が働くから、不利益に変更することは許されない。一部差し戻しでも全部差し戻しでも同じ事である。
 原審が管轄を誤ったことで、被告人に不利益があってはならない。
   東京高等裁判所判決昭和50年12月19日
   名古屋高等裁判所金沢支部判決昭和28年6月25日