児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

同一被害児童に対する日時が近接した児童淫行罪と児童ポルノ製造罪が別々に起訴された場合は、一罪(観念的競合)であるかも疑え

 両罪は観念的競合(東京高裁h17.12.26)ですから、

  1. 家裁 1/1児童淫行罪 被害者a子
  2. 地裁 1/1児童ポルノ製造罪 被害者a子

という起訴があれば、二重起訴を疑ってください。

最高裁判所第2小法廷判決昭和43年3月29日
そして右大牟田市における各窃盗犯行の態様と本件第一審判決が罪となるべき事実の冒頭に掲記している被告人の各前科受刑の事実(盗犯等の防止及び処分に関する法律三条にいう「此等ノ罪」には同法二条に掲記された刑法各条の罪の従犯をも含むものと解すべきであり、この点を消極に解し、第一審判決の掲記する右前科のうち窃盗幇助等の罪によるものは右法律三条の予定する前科にあたらないとした原判決は失当である。)とを総合すれば、右大牟田市における各窃盗も盗犯等の防止及び処分に関する法律三条所定の常習累犯窃盗に該当するものとみるべきであり、また前記の本件(一)の所為も右確定判決前の犯行であるから、右大牟田市における各窃盗犯行と共に一個の常習累犯窃盗罪を構成すべきものであつたといわなければならない。しからば、右一罪の一部について既に確定判決があつた以上、本件における前記(一)の所為については免訴とされるべきであり、この点を看過し前記のように右(一)の所為をも本件の有罪事実に含めた第一審判決ならびにこれを認容した原判決には法令の解釈適用を誤つた違法があることになる。

最高裁判所第3小法廷判決平成15年10月7日
最高裁判所刑事判例集57巻9号1002頁
      判例タイムズ1139号57頁
      判例時報1843号3頁
 思うに,【要旨】訴因制度を採用した現行刑訴法の下においては,少なくとも第一次的には訴因が審判の対象であると解されること,犯罪の証明なしとする無罪の確定判決も一事不再理効を有することに加え,前記のような常習特殊窃盗罪の性質や一罪を構成する行為の一部起訴も適法になし得ることなどにかんがみると,前訴の訴因と後訴の訴因との間の公訴事実の単一性についての判断は,基本的には,前訴及び後訴の各訴因のみを基準としてこれらを比較対照することにより行うのが相当である。本件においては,前訴及び後訴の訴因が共に単純窃盗罪であって,両訴因を通じて常習性の発露という面は全く訴因として訴訟手続に上程されておらず,両訴因の相互関係を検討するに当たり,常習性の発露という要素を考慮すべき契機は存在しないのであるから,ここに常習特殊窃盗罪による一罪という観点を持ち込むことは,相当でないというべきである。そうすると,別個の機会に犯された単純窃盗罪に係る両訴因が公訴事実の単一性を欠くことは明らかであるから,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴には及ばないものといわざるを得ない。
 以上の点は,各単純窃盗罪と科刑上一罪の関係にある各建造物侵入罪が併せて起訴された場合についても,異なるものではない。
 なお,前訴の訴因が常習特殊窃盗罪又は常習累犯窃盗罪(以下,この両者を併せて「常習窃盗罪」という。)であり,後訴の訴因が余罪の単純窃盗罪である場合や,逆に,前訴の訴因は単純窃盗罪であるが,後訴の訴因が余罪の常習窃盗罪である場合には,両訴因の単純窃盗罪と常習窃盗罪とは一罪を構成するものではないけれども,両訴因の記載の比較のみからでも,両訴因の単純窃盗罪と常習窃盗罪が実体的には常習窃盗罪の一罪ではないかと強くうかがわれるのであるから,訴因自体において一方の単純窃盗罪が他方の常習窃盗罪と実体的に一罪を構成するかどうかにつき検討すべき契機が存在する場合であるとして,単純窃盗罪が常習性の発露として行われたか否かについて付随的に心証形成をし,両訴因間の公訴事実の単一性の有無を判断すべきであるが(最高裁昭和42年(あ)第2279号同43年3月29日第二小法廷判決・刑集22巻3号153頁参照*1),本件は,これと異なり,前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪の場合であるから,前記のとおり,常習性の点につき実体に立ち入って判断するのは相当ではないというべきである