児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

弁護人がデジカメで謄写するのはだめですか?

 控訴審の弁護人なんですが、そろそろ趣意書の提出期限なのに、裁判所の証拠書類の謄写が許可されない事件があります。司法協会によるコピー(1枚40円)は許可するが、デジカメで撮るのは事実上許さないということでしょうか?
 東京ではやってるそうじゃないですか。大阪簡裁と長岡簡裁でやったことありますけど高裁はだめですか?
 検察庁での検察官請求証拠の謄写は普通にデジカメでもやってますよね。 
 お願いしますよ、高等裁判所殿。

 なお、弁護人は、昨年5月、同様に事務員に捲らせて弁護人がシャッターを切るという方法で、簡裁において、略式命令請求事件の記録を謄写したことがあるが、その際の画像の撮影情報から推定すると、
   所要時間41分
   412枚
  (平均1分10丁)
という処理速度であった。画質を落とせば、さらにスピードアップできる。

 なお、弁護人が行うデジタルカメラによる謄写については、禁止する規定はなく、「書類の破棄その他不法な行為を防ぐため必要があると認めるとき」(規則301条2項)に「裁判所職員をこれに立ち会わせ、又はその他の適当な措置を講じなければならない。」とされるだけであって、デジカメであろうと、コピー機であろうと、「書類の破棄その他不法な行為を防ぐため必要があると認めるとき」でない場合には、謄写方法に制約を受けないと考える。
 ましてや今回のように弁護人が書記官室で行う、又は書記官の立ち会いで行うのであれば、「書類の破棄その他不法な行為を防ぐため必要があると認めるとき」にあたらない。

法第40条〔弁護人の書類・証拠物の閲覧謄写〕
弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
規則第301条(書類、証拠物の閲覧等)
裁判長又は裁判官は、訴訟に関する書類及び証拠物の閲覧又は謄写について、日時、場所及び時間を指定することができる。
2 裁判長又は裁判官は、訴訟に関する書類及び証拠物の閲覧又は謄写について、書類の破棄その他不法な行為を防ぐため必要があると認めるときは、裁判所書記官その他の裁判所職員をこれに立ち会わせ、又はその他の適当な措置を講じなければならない。

 司法協会のレートだと、60万円かかるんですよ。そんなお金があれば、被害弁償に回したいんですよ。

追記
 デジカメ謄写は許可されなかった。
 司法協会ならどこでもコピー可能ということで、まず、各調書の表紙をコピーして、ついで、中身の引用が必要な書証を全部コピーして対応しました。こんなことで喧嘩しているうちに控訴趣意書差出期限が徒過してしまうので、やむを得ない。
 謄写費用の分は司法協会が潤って被害弁償が減る結果となった。

 1枚60円で謄写しているのは某支部の謄写を担当している弁護士会でした。ことしの判例になった事件ですけど、よその会員には高いレートを適用して7000枚くらいで42万円請求してくる。事務職員2人分の月給ですよね。ここの弁護士には謄写費用が高いという資格がない。