児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

取材目的で児童買春周旋を依頼した者の責任

 事案の概要

 フリージャーナリストが取材目的で、児童買春の周旋業者に、40ドルを払って、児童2名を紹介させ、児童と会った。
 児童とは児童買春行為はなく、食事して取材。
 国際子ども権利センターのスタッフも同行して、費用負担。

こんなことすると、周旋者は周旋罪既遂です。重い法定刑。

第5条(児童買春周旋)
1児童買春の周旋をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 児童買春の周旋をすることを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

 周旋を頼んだ方は、児童買春の対価として40ドルを払っているから、「対償供与」はあって、児童買春罪の着手はある。但し性交等していないから未遂。
 周旋を頼んだ行為も周旋罪の共犯になりうる。

 このNGOでは「救うべき児童を救わなかったこと」が問題とされているようですが、これはほとんど犯罪です。

http://blog.goo.ne.jp/jicrc/e/5f9b85e8a3cd15c8b2a8be05dd948cfd
 この度、2月10日づけで投稿されていたカンボジアだよりは以下の理由により削除しました。
 ここに投稿されていた記事は、国際子ども権利センターのスタッフが客を装って、買春宿の子ども買春の実態を調べた内容に関するものでした。
 カンボジアでは、NGOスタッフが客を装って子どもが買春や人身売買の被害にあっていないかを調査することはあります。しかし、国際子ども権利センターは、子ども買春など子どもの権利侵害をなくすために、カンボジアの司法執行力の強化を求めています。それゆえ、たとえ、子ども買春の実態を知るためであろうと、カンボジアの司法執行機能が弱いことを利用するようなかたちで、買春宿から少女を外に連れ出すことは国際子ども権利センターの使命と矛盾するため、このような調査は慎みむべきでした。
カンボジア事務所 共同代表 甲斐田万智子

追記 
 未遂の教唆という論点ではありません。
 周旋罪は既遂です。

警察庁執務資料
3 児童買春周旋の罪(第5条)
(1)行為
児童買春の周旋をすること。
「児童買春の周旋」とは、児童買春をしようとする者とその相手方となろうとする児童との間に立って児童買春が行われるように仲介することをいう。
第3中2(2)も参照すること。なお、売春防止法第6条の「周旋」と基本的に同義である。
(2)既遂時期
本罪は、児童買春をしようとする者とその相手方となろうとする児童の依頼又は承諾に基づき、両者を引き合わせるなど、両者の間で児童買春が行われるように仲介する行為をすることによって成立し、かつ既遂に達する。引き合わせ行為等が行われた以上、両者の間で児童買春の条件がすべて確定していなくても、また、両者間で最終的に児童買春が行われなかったとしても、本罪が成立する。
(3)児童買春の周旋をすることを業とした(第2項)「業とした」とは、反復継続して行う意思をもってすることをいい、この意思がある以上、現実に周旋が1回限りでも成立するし、周旋が本業であることも必要ではない。
(4)他罪との関係
売春防止法第6条第1項との関係
児童買春の周旋をした場合には、事案によっては一個の行為で本罪と売春防止法第6(条第1項の売春周旋罪の両罪が成立する(両罪の関係は観念的競合となる)ことがあり得る。
児童福祉法第34条第1項第6号との関係児童福祉法第34条第1項第6号の「児童に淫行をさせる行為」をした場合には、事案によっては一個の行為で本罪と児童福祉法第34条第1項第6号違反の両罪が成立する(両罪の関係は観念的競合となる)ことがあり得る。