児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ輸出罪の既遂時期=領海説

 輸出罪の公訴事実・罪となるべき事実はどう書くか?

  1. ・・・航空機に搭載させ,もって,不特定若しくは多数の者に提供する目的で児童ポルノを輸出した。
  2. 航空便で発送し.・・空港に到着させ,もって不特定若しくは多数の者に提供する目的で児童ポルノを外国から輸出したものである。

とう記載例がありますが、
いずれも失当です。

1 について
 立法者の解説書によれば、輸出=「外国の領域外に出た時」である。
  森山・野田「よくわかる児童ポルノ・児童買春処罰法」P60

関税法2条にいう「送り出し時」ではない。

関税法
第二条  この法律又はこの法律に基づく命令において、次の各号に掲げる用語は、当該各号に掲げる定義に従うものとする。
二  「輸出」とは、内国貨物を外国に向けて送り出すことをいう。

 とすると、上記訴因でいえば、被告人が発送した航空便が、飛行機に搭載されて、さらに、その国から公海・第三国に出た時点で、輸出罪は、既遂となる。
 つまり、児童ポルノが外国から出ることが、構成要件なのである。
 1の記載例は犯罪を構成しない。

2について
 立法者の解説書によれば、輸入=「日本の領域内に入った時」である(領海説)。
  森山・野田「よくわかる児童ポルノ・児童買春処罰法」P60
 輸出の訴因でありながら、輸入罪も既遂になっている点で、特定を欠く。
 起訴状であれば、余事記載とか訴因不特定の問題になる。

1は不足、2は過剰。