上告趣意書の期限が迫り、書面に引用するために、OCR掛けました。
大橋検事には好評だったんですが、実務を観察していると一罪説が多数ですね。
「多義的かつ独自の主張を重ねている特定の弁護人」に言わせてもらえば、大橋さんのせいじゃないです。これは法律が悪い。
だいたい、数回の販売行為を併合罪にしても、陳列罪は一罪とせざるを得ない。
陳列罪なんて、有体物陳列として構成するから、何ギガでも何テラでも、有体物として1個なら1罪。懲役5年。
有体物販売は現行法では「提供罪」で5年、併合罪で7.5年ですが、ダウンロードは現行法でも陳列構成で、包括一罪ですから、何回やっても1罪。懲役5年。
ということで、判例の罪数論では
児童ポルノ販売するならDL販売
となっております。
暴力団が組織的に、DL販売をやっても、みんな上限は5年に貼り付いちゃう。
winmxが陳列罪だったから、winnyも陳列罪ですよね。どっかで提供罪に切り換えますか?
ある犯罪現象に合わせて作ったこんな特殊で重い罰則、後追いと言われようと、次々に
WEB掲載罪、
メール送信罪、
ファイル共有罪を作って
を作った方が、いいんじゃないか?
題 検証 ハイテク犯罪の捜査(31)ハイテク犯罪の回顧と展望&緊急特集(新年特集)
著者 大橋 充直 (オオハシ ミツナオ)
請求記号 Z2-66
雑誌名 捜査研究
出版者・編者 東京法令出版 / 東京法令出版株式会社 〔編〕
巻号・年月日 53(1) (通号 628) [2004.1]
ページ 105〜86
ISSN 0286-8490
本文の言語コード jpn: 日本語
雑誌記事ID 5339610004 緊急特集2
前記の統計を見てもお分かりのとおり,続々と摘発が進むネット・ポルノであるが,それに伴い,「児童ポルノ関連犯罪」の罪数等に関する高裁判例も現れた。実は,これらの判例は,特定の弁護人が多義的かつ独自の主張を重ねたため,多数の判例要素が形成された特有な判例2件である。そこで,弁護人が原審判決を誤解した些末な論点は割愛しつつ,正月のおめでたい気分のエッセイふうで,ここに,その主要又は興味深い点を紹介する。
(中略)わいせつ物の規制と異なり,製造過程に遡ってこれを規制するものである。この立法趣旨に照らせば,各罪はそれぞれ法益侵害の態様を異にし,それぞれ別個独立に処罰しようとするものであって,販売等の目的が共通であっても,その過程全体を牽連犯一罪として,あるいは児童ごとに包括一罪として,既判力等の点で個別処罰を不可能とするような解釈はとるべきではない。」として,弁護人の主張そのものは排斥したが,本件は児童ポルノとわいせつ図画の観念的競合として起訴されている点に着目し,わいせつ図画販売目的所持罪と同鮫発罪とは包括一罪であるという全く別の罪数理論で,結論のみ肯定した。
これは,児童ポルノの製造罪や販売罪等に関する新判例である。児童ごとに一罪が成立することを理由とした「販売目的共通一罪説」や「児童ごと包括一罪説」という見解を明確に否定した新判例ともいえる。